標準管理規約

標準管理規約(団地型)

一般的に団地とは「一か所にまとめて建設するために計画的に開発した住宅や工場」などのことを指します。

分譲マンションでは、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)にて各区分所有者の権利やマンション全体の管理方法などを定めており、第65条にて区分所有法における団地建物所有者の団体の定義を定めています。

(区分所有法第65条)
⼀団地内に数棟の建物があつて、その団地内の⼟地⼜は附属施設(これらに関する権利を含む。)がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属する場合には、それらの所有者(以下「団地建物所有者」という。)は、全員で、その団地内の⼟地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を⾏うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。

しかし、世界に1つとして同じ団地などは存在せず、区分所有法だけで団地で暮らす方たちの適切な暮らしや的確な建物の維持・管理をしていくことには無理が生じてしまいます。

そこで、区分所有法ではそれぞれの団地において独自のルールを定めるための規約を制定することを認めています。(ただし、規約で定められないこともあります。)

そして、その規約の標準的な見本を国土交通省が作成しており、公表されているものが「標準管理規約(団地型)」と呼ばれるもので、区分所有法で規定されている団地建物所有者の団体のことを標準管理規約上では「団地管理組合」と呼ぶことを定義づけています。

本記事では、2021年に改正された最新の標準管理規約(団地型)の主要な箇所について学び、団地管理組合について理解を深めることができます。

目次

マンション標準管理規約(団地型)全般関係コメント

マンション標準管理規約(団地型)コメントの全般関係では①~⑦まで述べられていますが、特に重要だと思われる②~⑤について次に記載します。(③コメント記載の図1及び図2の記載は省略)

全般関係コメント

② この団地型標準管理規約が対象としているのは、一般分譲の住居専用のマンションが数棟所在する団地型マンションで、団地内の土地及び集会所等の附属施設がその数棟の区分所有者(団地建物所有者)全員の共有となっているものである。各棟及び各住戸についてはその床面積、規模等が、均質のものもバリエーションのあるものも含めている。
なお、この規約の対象となる団地の単位は、敷地が共有関係にある棟の範囲である。団地型マンションで土地の共有関係が数棟ごとに分かれている場合には、それごとに一つの管理組合を構成し、規約を作成することとなる。

③ 団地の形態の典型的なものとして、「団地内の土地全体が全団地建物所有者の共有となっている形態」(図1)と「土地の共有関係は各棟ごとに分かれ、集会所等の附属施設が全団地建物所有者の共有となっている形態」(図2)とがあるが、本規約の対象としては、団地型として最も一般的な前者の形態であり、特に、

ア)団地内にある数棟の建物の全部が区分所有建物であること

イ)ア)の建物の敷地(建物の所在する土地と規約により敷地と定められた土地の両方を含む。)がその団地内にある建物の団地建物所有者の共有に属していること(建物の敷地利用権が所有権以外の権利である場合は、その権利が準共有に属していること)

ウ)団地管理組合において、団地内にある区分所有建物全部の管理又は使用に関する規約が定められていること

の三つの要件を満たしている団地(図1)とした。
後者の形態の場合には、基本的に各棟は単棟型の標準管理規約を使用し、附属施設についてのみ全棟の区分所有者で規約を設定することとなる。

※図1及び図2の記載は省略

④ いわゆる等価交換により特定の者が多数の住戸を区分所有する場合、一部共用部分が存する場合、管理組合を法人とする場合、団地型マンションでも店舗併用等の複合用途型がある場合、事務所又は店舗専用の区分所有建物が団地内に併存する場合等は別途考慮するものとする。

⑤ この規約では、団地建物所有者の共有物である団地内の土地、附属施設及び団地共用部分のほか、それぞれの棟についても団地全体で一元的に管理するものとし、管理組合は団地全体のものを規定し、棟別のものは特に規定していない。ただし、区分所有法で棟ごとに適用されることとなっている事項(義務違反者に対する措置、復旧及び建替え)については、棟ごとの棟総会で決議するものである。
なお、棟の管理は各棟の管理組合で行うことと規約で位置づけた場合であっても、団地全体としての管理水準の統一、効率的な管理の確保等の観点から、全棟で管理のための連絡協議会のような組織を設置し、緩やかな形での統合的な管理を行っていくことが考えられる。

目的(第1条)

標準管理規約(団地型)第1条では「この規約は、○○団地の管理又は使用に関する事項等について定めることにより、団地建物所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的とする。」と定められています。

管理組合(第6条1項)

標準管理規約(団地型)第6条1項では「団地建物所有者は、区分所有法第65条に定める団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理を行うための団体として、第1条に定める目的を達成するため、団地建物所有者全員をもって○○団地管理組合(以下「管理組合」という。)を構成する。」と定められています。

【区分所有法第65条に定める
団地所有建物所有者の団体成立の要件】


① 一団地内に数棟の建物(区分所有建物、戸建て建物など問いません)があること

② ①の団地内の⼟地⼜は附属施設(これらに関する権利を含む)がそれらの建物の所有者(専有部分のある建物にあつては、区分所有者)の共有に属すること

【団地所有建物所有者の団体が成立する具体例】
① 一団地内に複数の区分所有建物が存在し、敷地を共有している
② 一団地内に区分所有建物と戸建て建物が混在し、敷地を共有している
③ 戸建ての建物のみで道路を共有し、敷地はそれぞれ単独所有している
④ 戸建ての建物のみで付属施設を共有し、敷地はそれぞれ単独所有している
⑤ 区分所有建物のみで付属施設を共有し、各棟の敷地はそれぞれの棟が単独所有している

ただし、本記事の標準管理規約(団地型)の対象としているのは上記「マンション標準管理規約(団地型)全般関係コメント③」に記載された形態の団地となります。

管理費等(第25条)

団地建物所有者の管理費等の納入(第25条1項)

標準管理規約(団地型)第25条1項では「団地建物所有者は、土地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため、次の費用(以下「管理費等」という。)を管理組合に納入しなければならない。」と定められています。

第25条1項第一~三号

一 管理費
二 団地修繕積立金
三 各棟修繕積立金

管理費の額(第25条2項)

標準管理規約(団地型)第25条2項では「管理費の額については、棟の管理に相当する額はそれぞれの棟の各区分所有者の棟の共用部分の共有持分に応じ、それ以外の管理に相当する額は各団地建物所有者の土地の共有持分に応じて算出するものとする。」と定められています。

団地修繕積立金の額(第25条3項)

標準管理規約(団地型)第25条3項では「団地修繕積立金の額については、各団地建物所有者の土地の共有持分に応じて算出するものとする。」と定められています。

各棟修繕積立金の額(第25条4項)

標準管理規約(団地型)第25条4項では「各棟修繕積立金の額については、それぞれの棟の各区分所有者の棟の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。」と定められていま各棟修繕積立金の額す。

【マンション標準管理規約(団地型)第25条関係コメント】
① 管理費等の負担割合を定めるに当たっては、使用頻度等は勘案しない。

② 管理費については、棟の管理に相当する額とそれ以外の管理に相当する額とに、実費等を考慮してあらかじめ按分した上で、それぞれの共有持分に応じて算出するものである。
各棟の構造、設備、グレード等があまり異ならないときは、団地建物所有者の土地の共有持分の割合によることもできる。

③ 管理費のうち、管理組合の運営に要する費用については、組合費として管理費とは分離して徴収することもできる。

④ 団地を構成する棟の数の多少、個々の棟の建物規模の大小、個々の棟の構造の差異、さらには分譲時期の時間差等が、建物の維持管理上の条件に影響を及ぼしている。長期修繕計画や団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の設定にも、これらの差異を十分に考慮する必要がある。

⑤ 議決権割合の設定方法について、一戸一議決権(第48条関係②)や価値割合(第48条関係③)を採用する場合であっても、これとは別に管理費等の負担額については、第2項から第4項の規定により算出することが考えられる。

⑥ なお、管理費等の徴収や、滞納があった場合の取扱い等については、第62条を参照のこと。

団地修繕積立金(第28条)

団地修繕積立金の取り崩し(第28条1項)

標準管理規約(団地型)第28条1項では「管理組合は、各団地建物所有者が納入する団地修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた団地修繕積立金は、土地、附属施設及び団地共用部分の、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。」と定められています。

第28条1項第一~五号

一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
三 土地、附属施設及び団地共用部分の変更
四 建物の建替え、マンション敷地売却及び敷地分割(以下「建替え等」という。)に係る合意形成に必要となる事項の調査
五 その他土地、附属施設及び団地共用部分の管理に関し、団地建物所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

一括建替え決議による団地修繕積立金の取り崩し(第28条2項)

標準管理規約(団地型)第28条2項では「前項にかかわらず、区分所有法第70条第1項の一括建替え決議(以下「一括建替え決議」という。)又は一括建替えに関する団地建物所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成14年法律第78号。以下「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合(以下「建替組合」という。)の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、団地修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する団地修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、団地修繕積立金を取り崩すことができる。」と定められています。

マンション敷地売却決議による団地修繕積立金の取崩し(第28条3項)

標準管理規約(団地型)第28条3項では「第1項にかかわらず、円滑化法第108条第1項のマンション敷地売却決議(以下「マンション敷地売却決議」という。)の後であっても、円滑化法第120条のマンション敷地売却組合(以下「マンション敷地売却組合」という。)の設立の認可までの間において、マンション敷地売却に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、団地修繕積立金から管理組合の消滅時にマンション敷地売却不参加者に帰属する団地修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、団地修繕積立金を取り崩すことができる。」と定められています。

敷地分割決議による団地修繕積立金の取り崩し(第28条4項)

標準管理規約(団地型)第28条4項では「第1項にかかわらず、円滑化法第115条の4第1項の敷地分割決議(以下「敷地分割決議」という。)の後であっても、円滑化法第168条の敷地分割組合(以下「敷地分割組合」という。)の設立の認可までの間において、敷地分割に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、団地修繕積立金を取り崩すことができる。」と定められています。

団地修繕積立金の借入れ(第28条5項)

標準管理規約(団地型)第28条5項では「管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、団地修繕積立金をもってその償還に充てることができる。」と定められています。

各棟修繕積立金(第29条)

各棟修繕積立金の取り崩し(第29条1項)

標準管理規約(団地型)第29条1項では「管理組合は、それぞれの棟の各区分所有者が納入する各棟修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた各棟修繕積立金は、それぞれの棟の共用部分の、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。」と定められています。

第29条1項第一~五号

一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
三 棟の共用部分の変更
四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査
五 その他棟の共用部分の管理に関し、その棟の区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

建替え決議による各棟修繕積立金の取り崩し(第29条2項)

標準管理規約(団地型)第29条2項では「前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議(以下「建替え決議」という。)、一括建替え決議又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、円滑化法第9条の建替組合の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、各棟修繕積立金から建物の取壊し時に建替え不参加者に帰属する各棟修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、各棟修繕積立金を取り崩すことができる。」と定められています。

マンション敷地売却決議による各棟修繕積立金の取り崩し(第29条3項)

標準管理規約(団地型)第29条3項では「第1項にかかわらず、マンション敷地売却決議の後であっても、マンション敷地売却組合の設立の認可までの間において、マンション敷地売却に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、各棟修繕積立金から管理組合の消滅時にマンション敷地売却不参加者に帰属する各棟修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、各棟修繕積立金を取り崩すことができる。」と定められています。

マンション敷地分割決議による各棟修繕積立金の取り崩し(第29条4項)

標準管理規約(団地型)第29条4項では「第1項にかかわらず、敷地分割決議の後であっても、敷地分割組合の設立の認可までの間において、敷地分割に係る計画等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、各棟修繕積立金を取り崩すことができる。」と定められています。

各棟修繕積立金の借入れ(第29条5項)

標準管理規約(団地型)第29条5項では「管理組合は、第1項各号の経費に充てるため借入れをしたときは、各棟修繕積立金をもってその償還に充てることができる。」と定められています。

【マンション標準管理規約(団地型)第28条及び第29条関係コメント】
① 対象物件の経済的価値を適正に維持するためには、一定期間ごとに行う計画的な維持修繕工事が重要であるので、団地修繕積立金及び各棟修繕積立金を必ず積み立てることとしたものである。

② 分譲会社が分譲時において将来の計画修繕に要する経費に充当していくため、一括して購入者より修繕積立基金として徴収している場合や、修繕時に、既存の団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の額が修繕費用に不足すること等から、一時負担金が団地建物所有者又は区分所有者から徴収される場合があるが、これらについても団地修繕積立金又は各棟修繕積立金として積み立てられ、区分経理されるべきものである。

③ 本規約の対象とする団地(コメント全般関係③参照)の建替えは、団地全体の一括建替え決議による場合、棟ごとの合意及び団地の建替え承認決議による場合の2つの方法がある。一括建替え決議を選択できるのは、区分所有法第70条第1項の要件を満たす団地型マンションのみであり、管理組合においては、各マンションの実態に応じて、規約を定めることが重要である。

④ 円滑化法に基づく建替組合によるマンション建替事業における建替えまでのプロセスの概要は、円滑化法の制定を踏まえ作成された「マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」によれば、次のとおりである。

A.建替え決議までのプロセス
(ア)準備段階:一部の区分所有者から建替えの発意がなされ、それに賛同する有志により、建替えを提起するための基礎的な検討が行われる段階であり、「管理組合として建替えの検討を行うことの合意を得ること」を目標とする。

(イ)検討段階:管理組合として、修繕・改修との比較等による建替えの必要性、建替えの構想について検討する段階であり、「管理組合として、建替えを必要として計画することの合意を得ること」を目標とする。

(ウ)計画段階:管理組合として、各区分所有者の合意形成を図りながら、建替えの計画を本格的に検討する段階であり、「建替え計画を策定するとともに、それを前提とした建替え決議を得ること」を目標とする。

B.建替え決議後のプロセス
(ア)建替組合の設立段階:定款及び事業計画を定め、都道府県知事等の認可を受けて建替組合を設立する段階。

(イ)権利変換段階:権利変換計画を策定し、同計画に関し都道府県知事等の認可を受け、権利変換を行う段階。

(ウ)工事実施段階:建替え工事を施工し、工事完了時にマンション建替事業に係る清算を行う段階。

(エ)再入居と新管理組合の設立段階:新マンションに入居し、新マンションの管理組合が発足する段階。

⑤ ④のプロセスのうち、④のA(イ)及び(ウ)の段階においては、管理組合が建替えの検討のため、調査を実施する。調査の主な内容は、再建マンションの設計概要、マンションの取壊し及び再建マンションの建築に要する費用の概算額やその費用分担、再建マンションの区分所有権の帰属に関する事項等である。

⑥ ④のプロセスのうち、④のB(ア)の段階においても、団地修繕積立金又は各棟修繕積立金を取り崩すことのできる場合があることを定めたのが第2項である。

⑦ ④のプロセスによらず、円滑化法第45条のマンション建替事業の認可に基づく建替え、又は団地建物所有者の全員合意に基づく任意の建替えを推進する場合であっても、必要に応じて、第1項及び第2項、又は第2項と同様の方法により、団地修繕積立金又は各棟修繕積立金を取り崩すことは可能である。ただし、任意の組織に関し、その設立時期について管理組合内で共通認識を得ておくことが必要である。

⑧ 円滑化法に基づくマンション敷地売却組合によるマンション敷地売却事業のプロセスの概要は、平成30年のマンションの建替え等の円滑化に関する法律施行規則(平成14年国土交通省令第116号。以下「円滑化法施行規則」という。)の改正を踏まえ改訂された「耐震性不足のマンションに係るマンション敷地売却ガイドライン」を参考とされたい。この場合にも、建替えの場合と同様に、第1項及び第3項に基づき、必要に応じて、団地修繕積立金又は各棟修繕積立金を取り崩すことは可能である。

⑨ 円滑化法に基づく敷地分割組合による敷地分割事業のプロセスの概要は、国土交通省が策定した「団地型マンション再生のための敷地分割ガイドライン」を参考とされたい。この場合にも、建替えやマンション敷地売却の場合と同様に、第1項及び第4項に基づき、必要に応じて、団地修繕積立金又は各棟修繕積立金を取り崩すことは可能である。

⑩ 建替え等に係る調査に必要な経費の支出は、各マンションの実態に応じて、管理費から支出する旨管理規約に規定することもできる。

区分経理(第30条)

費用ごとの区分経理(第30条1項)

標準管理規約(団地型)第30条1項では「管理組合は、次の各号に掲げる費用ごとにそれぞれ区分して経理しなければならない。」と定められています。

第30条1項第一~三号

一 管理費
二 団地修繕積立金
三 各棟修繕積立金

各棟修繕積立金の区分経理(第30条2項)

標準管理規約(団地型)第30条2項では「各棟修繕積立金は、棟ごとにそれぞれ区分して経理しなければならない。」と定められています。

使用料(第31条)

標準管理規約(団地型)第31条では「駐車場使用料その他の土地及び共用部分等に係る使用料(以下「使用料」という。)は、それらの管理に要する費用に充てるほか、団地建物所有者の土地の共有持分に応じて棟ごとに各棟修繕積立金として積み立てる。」と定められています。

【マンション標準管理規約(団地型)第31条関係コメント】
① 機械式駐車場を有する場合は、その維持及び修繕に多額の費用を要することから、管理費、団地修繕積立金及び各棟修繕積立金とは区分して経理することもできる。

② この団地型標準管理規約では、棟の共用部分の修繕費用の方が団地共用部分等の修繕費用より相対的に多額になることが想定されることを考慮して、使用料はそれらの管理に要する費用に充てるほか、各棟修繕積立金として積み立てることとしているが、団地共用部分等の修繕に多額の費用が見込まれる場合には、団地修繕積立金として積み立てることが適当である。

管理組合の業務(第34条)

標準管理規約(団地型)第34条では「管理組合は、団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理のため、次の各号に掲げる業務を行う。」と定められています。

第34条第一~十五号

一 管理組合が管理する土地及び共用部分等(以下本条及び第50条において「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
二 組合管理部分の修繕
三 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
五 適正化法第103条第1項に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等
七 共用部分等に係る火災保険、地震保険その他の損害保険に関する業務
八 団地建物所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
九 土地及び共用部分等の変更及び運営
十 団地修繕積立金及び各棟修繕積立金の運用
十一 官公署、町内会等との渉外業務
十二 マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務
十三 広報及び連絡業務
十四 管理組合の消滅時における残余財産の清算及び建物の取壊し時における当該棟に係る残余財産の清算
十五 その他団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理に関する業務

マンション標準管理規約(団地型)第34条関係コメント】
① 建物を長期にわたって良好に維持・管理していくためには、一定の年数の経過ごとに計画的に修繕を行っていくことが必要であり、その対象となる建物の部分、修繕時期、必要となる費用等について、あらかじめ長期修繕計画として定め、団地建物所有者の間で合意しておくことは、円滑な修繕の実施のために重要である。

② 長期修繕計画の内容としては次のようなものが最低限必要である。
1 計画期間が30年以上で、かつ大規模修繕工事が2回含まれる期間以上とすること。
2 計画修繕の対象となる工事として外壁補修、屋上防水、給排水管取替え、窓及び玄関扉等の開口部の改良等が掲げられ、各部位ごとに修繕周期、工事金額等が定められているものであること。
3 全体の工事金額及び団地建物所有者の共有する部分と各棟の区分所有者の共有する部分に区分して工事金額が定められたものであること。また、長期修繕計画の内容については定期的な見直しをすることが必要である。

③ 長期修繕計画の作成又は変更及び修繕工事の実施の前提として、劣化診断(建物診断)を管理組合として併せて行う必要がある。

④ 長期修繕計画の作成又は変更に要する経費及び長期修繕計画の作成等のための劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、管理組合の財産状態等に応じて管理費又は修繕積立金のどちらからでもできる。
ただし、修繕積立金から充当する場合には、団地分と各棟分及び各棟間の修繕積立金について適正に按分し、公平に行う必要がある。
また、修繕工事の前提としての劣化診断(建物診断)に要する経費の充当については、修繕工事の一環としての経費であることから、原則としてその修繕工事の対象とする部分に対応する修繕積立金から取り崩すこととなる。

⑤ 管理組合が管理すべき設計図書は、適正化法第103条第1項に基づいて宅地建物取引業者から交付される竣工時の付近見取図、配置図、仕様書(仕上げ表を含む。)、各階平面図、2面以上の立面図、断面図又は矩計図、基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図、構造詳細図及び構造計算書である。ただし、同条は、適正化法の施行(平成13年8月1日)前に建設工事が完了した建物の分譲については適用されてないこととなっており、これに該当するマンションには上述の図書が交付されていない場合もある。他方、建物の修繕に有用な書類としては、上述以外の設計関係書類(数量調書、竣工地積測量図等)、特定行政庁関係書類(建築確認通知書、日影協定書等)、消防関係書類、給排水設備図や電気設備図、機械関係設備施設の関係書類、売買契約書関係書類等がある。
このような各マンションの実態に応じて、具体的な図書を規約に記載することが望ましい。

⑥ 修繕等の履歴情報とは、大規模修繕工事、計画修繕工事及び設備改修工事等の修繕の時期、箇所、費用及び工事施工者等や、設備の保守点検、建築基準法第12条第1項及び第3項の特定建築物等の定期調査報告及び建築設備(昇降機を含む。)の定期検査報告、消防法第8条の2の2の防火対象物定期点検報告等の法定点検、耐震診断結果、石綿使用調査結果など、維持管理の情報であり、整理して後に参照できるよう管理しておくことが今後の修繕等を適切に実施するためにも有効な情報である。

⑦ 管理組合が管理する書類等として、第三号に掲げる長期修繕計画書、第五号及び⑤に掲げる設計図書等、第六号及び⑥に掲げる修繕等の履歴情報が挙げられるが、具体的な保管や閲覧については、第66条第2項で規定するとおり、理事長の責任により行うこととする。その他に、理事長が保管する書類等としては、第51条第3項で定める団地総会議事録、第74条第4項で定める棟総会議事録、第55条第4項の規定に基づき準用される第51条第3項で定める理事会議事録、第66条及び第66条関係コメントに掲げる帳票類等、第82条で定める規約原本等が挙げられる。
このうち、団地総会議事録及び棟総会議事録並びに規約原本の保管は、区分所有法により管理者が保管することとされているものであり、この標準管理規約では理事長を管理者としていることから理事長が保管することとしている。

⑧ 従来、第十五号に定める管理組合の業務として、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」が掲げられていたが、「コミュニティ」という用語の概念のあいまいさから拡大解釈の懸念があり、とりわけ、管理組合と自治会、町内会等とを混同することにより、自治会的な活動への管理費の支出をめぐる意見対立やトラブル等が生じている実態もあった。一方、管理組合による従来の活動の中でいわゆるコミュニティ活動と称して行われていたもののうち、例えば、マンションやその周辺における美化や清掃、景観形成、防災・防犯活動、生活ルールの調整等で、その経費に見合ったマンションの資産価値の向上がもたらされる活動は、それが区分所有法第65条に定める管理組合の目的である「団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理」の範囲内で行われる限りにおいて可能である。なお、これに該当しない活動であっても、管理組合の役員等である者が個人の資格で参画することは可能である。
以上を明確にするため、区分所有法第65条を引用し、第34条本文に「団地内の土地、附属施設及び専有部分のある建物の管理のため」を加え、第十五号を削除し、併せて、周辺と一体となって行われる各業務を再整理することとし、従来第十二号に掲げていた「風紀、秩序及び安全の維持に関する業務」、従来第十三号に掲げていた「防災に関する業務」及び「居住環境の維持及び向上に関する業務」を、新たに第十二号において「団地及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」と規定することとした。なお、改正の趣旨等の詳細については、第27条関係②~④を参照のこと。

⑨ 建替え等により消滅する管理組合は、管理費、団地修繕積立金や各棟修繕積立金等の残余財産を清算する必要がある。なお、清算の方法については、各マンションの実態に応じて規定を整備しておくことが望ましい。

団地総会(第44条)

団地総会の組織(第44条1項)

標準管理規約(団地型)第44条1項では「管理組合の団地総会は、総組合員で組織する。」と定められています。

団地総会の種類(第44条2項)

標準管理規約(団地型)第44条2項では「団地総会は、通常総会及び臨時総会とする。」と定められています。

通常総会の招集(第44条3項)

標準管理規約(団地型)第44条3項では「理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集しなければならない。」と定められています。

臨時総会の招集(第44条4項)

標準管理規約(団地型)第44条4項では「理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集することができる。」と定められています。

団地総会の議長(第44条5項)

標準管理規約(団地型)第44条5項では「団地総会の議長は、理事長が務める。」と定められています。

【マンション標準管理規約(団地型)第44条関係コメント】
(第3項関係)
災害又は感染症の感染拡大等への対応として、WEB会議システム等を用いて会議を開催することも考えられるが、やむを得ない場合においては、通常総会を必ずしも「新会計年度開始以後2か月以内」に招集する必要はなく、これらの状況が解消された後、遅滞なく招集すれば足りると考えられる。

(第5項関係)
団地総会において、議長を選任する旨の定めをすることもできる。

議決事項(第50条)

標準管理規約(団地型)第50条では「次の各号に掲げる事項については、団地総会の決議を経なければならない。」と定められています。

第50条第一~十七号

一 規約(第72条第一号の場合を除く。)及び使用細則等の制定、変更又は廃止
二 役員の選任及び解任並びに役員活動費の額及び支払方法
三 収支決算及び事業報告
四 収支予算及び事業計画
五 長期修繕計画の作成又は変更
六 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法
七 団地修繕積立金及び各棟修繕積立金の保管及び運用方法
八 適正化法第5条の3第1項に基づく管理計画の認定の申請、同法第5条の6第1項に基づく管理計画の認定の更新の申請及び同法第5条の7第1項に基づく管理計画の変更の認定の申請
九 第21条第2項に定める管理の実施
十 第28条第1項又は第29条第1項に定める特別の管理の実施(第72条第三号及び第四号の場合を除く。)並びにそれに充てるための資金の借入れ及び団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の取崩し
十一 第28条第2項、第3項若しくは第4項又は第29条第2項若しくは第3項に定める建替え等及び敷地分割に係る計画又は設計等の経費のための団地修繕積立金又は各棟修繕積立金の取崩し
十二 区分所有法第69条第1項の場合の建替えの承認
十三 区分所有法第70条第1項の場合の一括建替え
十四 円滑化法第102条第1項に基づく除却の必要性に係る認定の申請
十五 円滑化法第115条の4第1項の場合の敷地分割
十六 組合管理部分に関する管理委託契約の締結
十七 その他管理組合の業務に関する重要事項

【マンション標準管理規約(団地型)第50条関係コメント】
規約の変更の際には以下の点に留意する必要がある。
1 団地内の棟が数期に分けて分譲され、新たに分譲された棟が従前の棟とその敷地等が同じ共有関係にある場合には、団地全体で管理する対象を再度決める必要があり、この場合は、従前の棟も含めた各棟の棟総会で、それぞれ各棟の区分所有者及び議決権の各4分の3以上で決議し、かつ団地総会で、団地建物所有者及び議決権の各4分の3以上で決議し、団地の規約に位置づける。

2 団地全体で管理することとしていた棟の管理を各棟で管理することにする場合は、団地総会で、団地建物所有者及び議決権の各4分の3以上で決議し、団地の規約を変更した上で、各棟でその棟の管理のための規約を制定する。

3 団地全体で管理する対象の管理の方法について変更する場合は、団地総会で、団地建物所有者及び議決権の各4分の3以上で決議し、団地の規約を変更する。

棟総会(第68条)

棟総会の組織(第68条1項)

標準管理規約(団地型)第68条1項では「棟総会は、区分所有法第3条の集会とし、○○団地内の棟ごとに、その棟の区分所有者全員で組織する。」と定められています。

棟総会の招集(第68条2項)

標準管理規約(団地型)第68条2項では「棟総会は、その棟の区分所有者が当該棟の区分所有者総数の5分の1以上及び第71条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる区分所有者の同意を得て、招集する。」と定められています。

棟総会の議長(第68条3項)

標準管理規約第(団地型)68条3項では電磁的方法が利用可能ではない場合と可能な場合の2パターンの規定が存在します。

(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合

(第68条3項)
棟総会の議長は、棟総会に出席した区分所有者(書面又は代理人によって議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数をもって、当該棟の区分所有者の中から選任する。

(イ)電磁的方法が利用可能な場合

(第68条3項)
棟総会の議長は、棟総会に出席した区分所有者(書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数をもって、当該棟の区分所有者の中から選任する。

【マンション標準管理規約(団地型)第68条関係コメント】
① この団地型標準管理規約では、区分所有法で各棟ごとに適用されることとなっている事項についても、一覧性を確保する観点から、各棟固有の事項について意思決定を行うことが必要になった場合の棟総会について、本条から第75条において規定したものである。
なお、第69条及び第74条については、団地総会に関する第45条関係及び第51条関係のコメントを参考にする。

② 棟総会に関する管理規約の変更は、棟総会のみで議決できる。各棟によって棟総会に関する管理規約に差異が生じた場合は、第8章を団地管理規約から分離し、各棟の規約を別に定めることが望ましい。

③ 各棟においては、日常的な管理は行わず、管理者は選任しないことから、棟総会は、区分所有法第34条第5項の規定に基づき、招集することとしている。

④ 事前に棟総会を招集する場合の世話人的な役割の人を決めておくことが望ましい。世話人は、当該棟より選任された団地管理組合の役員が兼ねることも考えられるし、理事とは別の区分所有者に定めることも考えられる。

棟総会の議決事項(第72条)

標準管理規約(団地型)第72条では「次の各号に掲げる事項については、棟総会の決議を経なければならない。」と定められています。

第72条第一~六号

一 区分所有法で団地関係に準用されていない規定に定める事項に係る規約の制定、変更又は廃止
二 区分所有法第57条第2項、第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起及びこれらの訴えを提起すべき者の選任
三 建物の一部が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧
四 区分所有法第62条第1項の場合の建替え及び円滑化法第108条第1項の場合のマンション敷地売却
五 区分所有法第69条第7項の建物の建替えを団地内の他の建物の建替えと一括して建替え承認決議に付すこと
六 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し

【マンション標準管理規約(団地型)第72条関係コメント】
① 棟総会の議決事項については、団地総会の議決事項とすることはできない。

② 棟総会の議決事項は、団地全体や他の棟に影響を及ぼすことも考えられるので、計画段階において他の棟の意見を取り入れるといった方法や棟総会で決定する前に理事会又は団地総会等に報告するといった方法で、団地全体の理解を得る努力をすることが適当である。

③ 特に、団地型マンションにおいて円滑化法第108条第1項の場合のマンション敷地売却決議を行う場合は、マンション敷地売却決議は各棟において棟総会で行うものの、決議内容及びその他の手続きについては全棟での一体性が必要となるため、平成30年の円滑化法施行規則の改正を踏まえ改訂された「耐震性不足のマンションに係るマンション敷地売却ガイドライン」を参考に、団地全体での合意形成を図ることが重要である。

④ 各棟修繕積立金の取崩しは、基本的に、団地総会の決議を経なければならないと規定している(第50条第十号及び第十一号)が、各棟の建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査の実施経費に充当するための取崩しのみは、団地総会の決議ではなく、棟総会の決議を経なければならないと規定している。

棟総会の会議及び議事(第73条)

棟総会の通常決議要件(第73条1項)

標準管理規約(団地型)第73条1項では「棟総会の議事は、その棟の区分所有者総数の4分の3以上及び第71条第1項に定める議決権総数の4分の3以上で決する。」と定められています。

棟総会の特別の決議要件事項(第73条2項)

標準管理規約(団地型)第73条2項では「次の各号に掲げる事項に関する棟総会の議事は、前項にかかわらず、議決権総数の半数以上を有する区分所有者が出席する会議において、出席区分所有者の議決権の過半数で決する。」と定められています。

第73条2項第一~三号

一 区分所有法第57条第2項の訴えの提起及び前条第二号の訴えを提起すべき者の選任
二 建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失した場合の滅失した棟の共用部分の復旧
三 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査の実施及びその経費に充当する場合の各棟修繕積立金の取崩し

建替え決議にともなう決議要件事項(第73条3項)

標準管理規約(団地型)第73条3項では「建替え決議及び前条第六号の団地内の他の建物の建替えと一括して建替え承認決議に付する旨の決議は、第1項にかかわらず、その棟の区分所有者総数の5分の4以上及び議決権総数の5分の4以上で行う。」と定められています。

敷地売却決議にともなう決議要件事項(第73条4項)

標準管理規約(団地型)第73条4項では「マンション敷地売却決議は、第1項にかかわらず、その棟の区分所有者総数、議決権総数及び敷地利用権の持分の価格の各5分の4以上で行う。」と定められています。

総会出席とみなされる区分所有者(第73条5項)

標準管理規約第(団地型)73条5項では電磁的方法が利用可能ではない場合と可能な場合の2パターンの規定が存在します。

(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合

(第73条5項)
前4項の場合において、書面又は代理人によって議決権を行使する者は、出席区分所有者とみなす。

(イ)電磁的方法が利用可能な場合

(第73条5項)
前4項の場合において、書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使する者は、出席区分所有者とみなす。

規約の制定等で区分所有者に特別の影響を及ぼすべき(第73条6項)

標準管理規約(団地型)第73条6項では「前条第一号において、規約の制定、変更又は廃止がその棟の一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。この場合において、その区分所有者は正当な理由がなければこれを拒否してはならない。」と定められています。

区分所有者等への弁明する機会の付与(第73条7項)

標準管理規約(団地型)第73条7項では「区分所有法第58条第1項、第59条第1項又は第60条第1項の訴えの提起の決議を行うには、あらかじめ当該区分所有者又は占有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。」と定められています。

棟総会による決議事項(第73条8項)

標準管理規約(団地型)第73条8項では「棟総会においては、第69条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる。」と定められています。

【マンション標準管理規約(団地型)第73条関係コメント】
マンション敷地売却決議の賛否は、売渡し請求の相手方になるかならないかに関係することから、賛成者、反対者が明確にわかるよう決議することが必要である。なお、第4項の決議要件については、法定の要件を確認的に規定したものである。

議事録の作成、保管等(第74条)

標準管理規約第(団地型)74条では電磁的方法が利用可能ではない場合と可能な場合の2パターンの規定が存在します。

(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合

(第74条1項)
棟総会の議事については、議長は、議事録を作成しなければならない。

(第74条2項)
議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、議長及び議長の指名する2名の棟総会に出席した区分所有者がこれに署名しなければならない。

(第74条3項)
議長は、前項の手続きをした後遅滞なく、議事録を理事長に引き渡さなければならない。

(第74条4項)
理事長は、議事録を保管し、その棟の区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。

(第74条5項)
理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。

(イ)電磁的方法が利用可能な場合

(第74条1項)
棟総会の議事については、議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。

(第74条2項)
議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、又は記録しなければならない。

(第74条3項)
前項の場合において、議事録が書面で作成されているときは、議長及び議長の指名する2名の棟総会に出席した区分所有者がこれに署名しなければならない。

(第74条4項)
第2項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議長及び議長の指名する2名の棟総会に出席した区分所有者が電子署名をしなければならない。

(第74条5項)
議長は、前項の手続きをした後遅滞なく、議事録を理事長に引き渡さなければならない。

(第74条6項)
理事長は、議事録を保管し、その棟の区分所有者又は利害関係人の書面又は電磁的方法による請求があったときは、議事録の閲覧(第51条第5項の閲覧をいう。)をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。

(第74条7項)
理事長は、所定の掲示場所に、議事録の保管場所を掲示しなければならない。

棟総会の議事録の閲覧請求者はその棟の区分所有者又は利害関係人となります。
そのため、他の棟の区分所有者というだけでは利害関係人にはあたりません。

まとめ

本記事の標準管理規約の団地型についていかがでしたでしょうか。

団地は一棟の区分所有マンションよりも大規模マンションとなる可能性も高く、規約もかなり複雑なものとなります。

そのため、一般の区分所有者の方たちだけで的確な管理組合運営を実施していくことは非常に難しいでしょう。

それどころか、管理組合から管理を委託する建物管理会社の担当者でさえ経験が浅い担当者では理解していないことも多いのではないでしょうか。

単棟型の分譲マンションにも言えることではありますが、特に団地管理組合においては、より信頼のおける建物管理会社に管理を委託することや、第三者のマンション管理士などの専門家に外部の理事を委託することも有益と思われます。

適切なマンションライフが過ごせるようぜひ検討してみて下さい。

本記事も読んでいただきどうもありがとうございました。

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