マンション暮らし

マンション購入派と賃貸派の考えとメリット、デメリットは?

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就職や結婚などをきっかけに、親元を離れてマンションで暮らし始める人も多いでしょう。

特に結婚のタイミングでは、「マンションを購入するか、それとも賃貸にするか」という選択に悩む人も少なくありません。

本記事では、マンション購入派と賃貸派それぞれの考え方や、両者のメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

購入か賃貸かで迷っている方にとって、今後の住まい選びの道しるべとなる内容です。

マンション購入派

マンション購入派の考え

自ら住むためにマンションを購入する人の多くは、

賃貸ではどれだけ長く家賃を払い続けても、自分の資産にはならない

あるいは

同じ条件の物件なら、賃貸の家賃よりも住宅ローンの返済額のほうが安い

といった理由から、購入を選択します。

不動産販売会社の営業トークでも、この2つのフレーズはよく使われ、購入を後押しする定番の説得材料となっています。

しかし、マンション購入がすべての人にとって“正解”というわけではありません。

賃貸と購入のどちらにも、それぞれのメリットとデメリットが存在するため、自身のライフスタイルや将来設計に合わせた判断が必要です。

マンションを購入するメリット

マンションを購入する最大のメリットは、自分の「所有物」となることです。

多くの人は購入時に住宅ローンを組みます。そのため「ローン=借金」として不安を感じるかもしれません。

しかし、ローン返済のうち元金の返済分は、自分の資産が増えていく部分とも言えます。

言い換えれば、「ローンの元金返済=貯蓄」と考えることで、返済への心理的な負担は少し軽くなるでしょう。

そして、ローンを完済すれば、抵当権のない完全な自分の所有物になります。

管理費や修繕積立金は引き続き必要ですが、ローン返済がなくなるだけでも家計の負担や精神的な圧力は大きく軽減されます。

【団体信用生命保険による安心】

また、ローンを抱えること自体が“保険”の役割を果たすこともあります。

多くの住宅ローンでは「団体信用生命保険(団信)」への加入が条件となっており(※一部金融機関では任意)、ローン名義人が亡くなった場合には残債が全額免除されます。

結果として、遺族はローンのないマンションをそのまま相続できるのです。

つまり、ローンが生命保険の代わりになるという側面があります。

したがって、ローンは「できるだけ早く完済すべき」とは限りません。

【繰上げ返済よりも賢いお金の活用】

日本では近年、金利が緩やかに上昇しており、今後も利上げが進む可能性が指摘されています。

とはいえ、現時点では依然として「低金利」と言える水準にあります。

このような状況の中で、「少しでも早く繰上げ返済をした方が安心」と考える人も多いかもしれません。

しかし、金利上昇を見据えつつも、手元資金を減らしすぎることのリスクも忘れてはなりません。

ローン返済を急ぐよりも、まずは生活防衛資金として一定の預貯金を確保しておくことが大切です。

さらに、余裕資金がある場合には、NISAやiDeCo、不動産投資などを活用して将来の資産形成を図るという選択肢も考えられます。

これらの制度を上手に活用すれば、将来の老後資金や教育費などの備えにもつながり、結果として家計全体の安定にも寄与します。

一方で、繰上げ返済を行えば確実に返済負担を減らせるという安心感もあります。

つまり、「返す」ことと「増やす」ことのどちらが自分にとってより重要なのかを見極め、金利動向と家計バランスを踏まえた総合的な判断をすることが大切です。

焦って繰上げ返済をするよりも、資産を守りながら増やすという視点を持つことで、より賢くお金を活用できるようになるでしょう。

【住宅ローン控除の活用】

住宅ローンを組むことで「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」を受けることができます。

これは、ローン残高の一定割合を所得税や住民税から控除できる制度で、税金を多く納めている人ほど恩恵が大きい仕組みです。

ただし、適用にはいくつかの条件があり、制度内容もたびたび改正されます。

最新の情報は国土交通省などの公式サイトで確認するようにしましょう。

【資産としての柔軟性】

さらに、購入したマンションは自分の所有物であるため、将来的に引っ越すことになっても「賃貸に出して家賃収入を得る」ことや「売却して資金化する」ことが可能です。

特に東京都心や23区内などの立地の良いマンションでは資産価値が下がりにくく、「想像以上の高値で賃貸できた」「購入時よりも高く売却できた」といったケースも珍しくありません。

マンションを購入するデメリット

マンションを購入すると、毎月の管理費修繕積立金、そして毎年の固定資産税の支払いが発生します。

これらは賃貸にはない負担であり、所有する限り継続的に支払い続ける必要があります。

また、管理費や修繕積立金の金額はマンション管理組合の決議によって将来的に変更される可能性があります。

固定資産税も、国や自治体による評価額の見直しで金額が変わることがあるため、購入時点だけでなく、将来的な負担増も想定しておくことが大切です。

【ローン返済に関する制約】

多くの購入者は住宅ローンを利用します。

ローンを組む際には返済期間を設定しますが、繰上げ返済により短縮はできても、途中で延長することは原則できません。

そのため、将来的な収入変動やライフイベント(子どもの進学、介護など)を見越した計画が求められます。

また、ローンには固定金利と変動金利があります。

固定金利は返済額が変わらないため安心感がありますが、変動金利よりも金利が高めに設定される傾向があります。

一方、変動金利は当初の返済負担が軽く見えるものの、将来的な金利上昇リスクによって返済額が増加する可能性もあります。

「今の金利」だけで判断せず、将来の生活設計と金利動向を見据えて、自分に合ったローンを選ぶことが重要です。

【予期せぬ転居リスク】

マンション購入後に、自分の意志とは関係なく転居せざるを得ない状況になることもあります。

代表的な例としては、転勤・離婚・家族構成の変化などがあります。

また、共同住宅であるマンションでは、近隣住民とのトラブル(騒音など)によって住みづらくなり、転居を考えるケースもあります。

こうした場合、売却するか、賃貸に出すかの選択を迫られます。

特に一時的に貸し出して「数年後に戻って住む」ことを想定している場合には注意が必要です。

通常の賃貸借契約では、貸主の都合で契約を終了させたり更新を拒否したりすることは原則できません。

つまり、想定していた時期に部屋を空けてもらえない可能性があるのです。

将来的に再び居住する予定がある場合は、契約形態や期間設定について、専門家に相談しておくことをおすすめします。

マンション賃貸派

マンション賃貸派の考え

マンションを賃貸する人の考えは、仕方なく賃貸している人。あえて賃貸にしている人など各人の状況、考えから様々なタイプがあり、大きくは次の5つのタイプに分かれます。

賃貸派5つのタイプ

1)持ち家を購入したいが、購入資金がなく仕方なく賃貸している

2)持ち家を購入するために倹約し、とりあえず今は賃貸している

3)賃貸マンションで生活内容を重視するためにあえて賃貸にしている

4)賃貸マンションで十分なので当然のごとく賃貸にしている

5)良質な賃貸マンションで生活を楽しむために賃貸にしている

マンションを賃貸するメリット

賃貸の最大のメリットは、ライフスタイルや環境の変化に合わせて柔軟に住み替えができることです。

転勤が決まったとき、子どもが生まれて家族が増えたとき、あるいは子どもが独立して住まいをコンパクトにしたいときなど、その時々のライフステージに合わせて、間取りや立地を自由に選べるのが賃貸の大きな魅力です。

また、築年数が経過したマンションから築浅のマンションへ住み替え、最新の設備や快適な環境を享受することも可能です。

ライフスタイルや価値観の変化に合わせて、住まいの選択肢を常に更新できるのは、賃貸ならではのフットワークの軽さと言えるでしょう。

【資金面での柔軟性】

「賃貸より購入の方が得」と言われることがありますが、マンションの購入費用と、一生涯にわたって支払う家賃の総額を比較しても、必ずしも購入の方が安いとは限りません。

経済状況や金利、地域の家賃相場などによって大きく変わるため、その時々の条件に応じて賃貸を選んだ方が、経済的にも快適に暮らせるケースは少なくありません。

購入に比べて初期費用が抑えられる点や、固定資産税・修繕積立金などの支出が不要な点も、家計にとっては見逃せないメリットです。

【人生の変化に寄り添う住まい方】

人生は、仕事、家族構成、健康などによって常に変化します。

どれほど綿密に計画を立てても、想定外の出来事が起こることは避けられません。

そのような中で、「いま自分にとって最適な住まい」を柔軟に選べる賃貸は、変化に対応しやすく、精神的にも負担が少ない選択肢と言えるでしょう。

マンションを賃貸するデメリット

賃貸の最大のデメリットは、どれだけ長く家賃を支払い続けても、自分の資産にはならないという点です。

これは、購入の最大のメリットである「所有できること」と正反対の特徴です。

賃貸で暮らす限り、家賃を一生支払い続ける必要があります。

退職後や老後の収入が減った場合でも、家賃の負担は変わらないため、長期的な家計リスクとして考えておく必要があります。

【初期費用や更新費用の負担】

日本では地域や物件によって、家賃以外にも敷金・礼金・保証料などの初期費用が必要になる場合があります。

さらに、2年ごとの契約更新時に更新料がかかる物件も少なくありません。

これらの費用は家賃が高いほど比例して高額になる傾向があるため、契約前にトータルコストをしっかり確認しておくことが大切です。

短期間での住み替えを繰り返す場合は、これらの費用が積み重なり、結果的に大きな出費になることもあります。

【リフォーム・改装の制約】

賃貸住宅では、原則として借主の判断でリフォームや改装を行うことはできません。

たとえ自費であっても、貸主の承諾なく壁紙を変えたり設備を入れ替えたりすると、退去時に原状回復を求められることがあります。

もし自分好みの空間に手を加えたい場合は、事前に貸主の承諾を得ることが必須です。

また、近年では例外として、借主が自由に改装できる「DIY型賃貸借契約」も登場しています。

この契約では、退去時に原状回復の義務がないこともあり、自分らしい住まいを実現したい人に適した選択肢といえるでしょう。

まとめ:大切なのは「どんな暮らしを望むか」

    

マンションの「購入」と「賃貸」は、どちらが正しい・間違っているというものではありません。

それぞれに明確なメリットとデメリットがあり、どちらを選ぶかはその人の価値観や人生設計によって異なります。

購入は、資産としての安定将来の安心感を得られる一方で、ローンや維持費といった長期的な責任が伴います。

一方の賃貸は、自由な住み替えライフステージに合わせた柔軟な暮らしを実現できますが、資産としては残りません。

どちらが「得」かを一概に判断することはできません。

むしろ、今の自分と家族にとってどんな暮らしが心地よいか、どんな将来を描きたいかを考えることが、最も大切です。

もし今迷っているなら、数字だけでなく、生活の質や安心感といった「見えない価値」にも目を向けてみてください。

マンションは「人生の器」であり、自分らしい生き方を支える基盤です。

購入か、賃貸か・・・

その答えは、人の数だけ存在します。

自分と家族にとって最も納得できる選択を見つけることこそが、本当の意味での「良い住まい選び」なのです。

本日も読んでいただき、どうもありがとうございました。

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