マンション管理

管理会社の管理委託費値上げにどう対応するか?

近年、多くのマンションで管理会社からの管理委託費用の値上げ要請が相次いでいます。

昨今の社会情勢により、管理会社側も経営の見直しを迫られていると思われます。

値上げの主な要因として、物価上昇、人件費の高騰、管理業界の人手不足などがあげられます。

管理組合としては、単純に値上げを受け入れるべきなのか、それとも交渉やコスト削減の余地があるのかを慎重に判断する必要があるでしょう。

本記事では、管理委託費用の値上げの背景を整理し、管理組合が取るべき対応策を検討する際の参考にすることができます。

管理会社が値上げを求める理由とは?

管理会社が値上げを要請する理由には、大きく分けて以下の3つの要因が考えられます。

管理組合としては、管理会社の主張を鵜呑みにせず、値上げの根拠を詳細に確認することが重要です。

人件費の高騰

管理員の人件費は、最低賃金の上昇や人手不足の影響を受けて増加しています。
特に、管理員の担い手が減る中で、新規採用者の確保が難しく、給与水準を引き上げざるを得ない状況です。
また、管理会社のフロント担当者の担い手不足も深刻で、全体的な人件費の負担が増しています。

物価高騰の影響

清掃用具や備品類、修繕資材、各設備の点検・保守費用など、マンション管理に関わるさまざまな費用が上昇しています。
これら費用が管理委託費用に含まれている場合には管理会社も管理組合への値上げせざるを得ない状況になってきています。

管理会社の経営環境

日本国内の管理会社はここ12年連続で減少しており、事業継続するための改善を求めれています。
そのため適正な利益を確保するために、一律の値上げではなく、管理業務内容および委託費用の見直しを各管理組合に求める管理会社が増えています。

管理組合が取るべき対応策

昨今の日本国内の経済状況を踏まえると、管理会社からの値上げ要請は、やむを得ない側面もあると言えるかもしれません。

しかし、管理会社からの管理委託費の値上げは、管理組合の管理費の値上げにも直結するため、管理組合全体にとって重大な問題となります。

衣食住をはじめ多くの生活必需品が値上がりし、すでに家計に大きな影響を受けている管理組合員の方も少なくないでしょう。

そのため、可能な限り管理会社からの値上げを回避、または最小限に抑えるための対策を講じていくことが重要です。

以下では、管理組合として検討すべき対策について解説します。

管理会社と交渉する

管理会社より値上げ要請があった場合、まずは管理会社に詳細な根拠を提示してもらいましょう。

その上で、以下のような対策を講じることで、より適正な価格で契約できる可能が高まります。

①段階的な値上げを提案
②業務内容の見直し(不要な業務の削減)
③値上げ分の内訳を精査し、不当な上乗せがないか確認

管理コストの削減を検討する

管理組合側から管理会社への要望で考えられるコスト削減策として、以下のようなことがあげられます。

適切に見直しを行うことで、コスト削減と品質の維持という両方を実現していくことができる可能性も高まっていきます。

①管理員の勤務形態の見直し(時間短縮や巡回型への変更)
②清掃回数や業務範囲の見直し
③オンライン理事会の導入や理事会時間の短縮や曜日を限定するなどの管理会社の負担軽減

管理会社変更の可能性を探る

管理会社より大幅な値上げを要求される可能性もあります。

そのような時には、管理会社を変更することも一つの選択肢です。

他社の管理会社から相見積もりを取得し、以下のような取り組みをすることで、より良い管理条件を見つけることができます。

ただし、管理会社変更には手間と時間がかかるため、慎重な判断が必要です。

①管理委託費の比較
②管理品質の比較
③契約内容の評価(妥当性)

まとめ

管理会社からの管理委託費の値上げ要請は、昨今の社会情勢を踏まえると、ある程度やむを得ない側面があります。

しかし、管理組合としては、値上げの根拠を確認するとともに、必要以上の負担増を防ぐため、コスト削減の検討や効率的な管理の実施、さらに管理会社との交渉を通じて、適正な価格での契約維持に努めることが求められます。

単に「値上げは仕方がない」と受け入れるのではなく、冷静に交渉し、管理組合の利益を守る姿勢が重要です。

こうした適切な対応により、マンション全体の運営コストを最適化し、組合員の負担を最小限に抑えることが可能になります。

マンション管理士などの外部専門家を活用するなど管理組合として主体的に対応していくことが、長期的な適切なマンション管理の維持につながるでしょう。

本記事も読んでいただきどうもありがとうございました。

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