2025年5月23日、参議院本会議において「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律案」が可決・成立しました。
この改正は、区分所有法、マンション建替円滑化法、マンション管理適正化法にもまたがる大幅な見直しであり、2026年4月1日から施行される予定です。
【主な改正内容】
1. 建替え・売却・取壊しの決議要件の緩和
従来、マンションの建替えや敷地売却、取壊しには区分所有者の5分の4以上の賛成が必要でしたが、改正により以下のように緩和されました。
●耐震性不足などの一定要件を満たす場合:4分の3以上の賛成で決議可能
●政令で定める災害により滅失等した場合:3分の2以上の賛成で決議可能
これにより、老朽化や災害リスクの高いマンションの再生が促進されることが期待されます。
2. 所在不明区分所有者の議決権除外
所在不明の区分所有者がいる場合、裁判所の認定を受けた所在不明者は議決権を有しないとされ、意思決定が円滑に行えるようになりました。
3. 管理不全部分への管理人選任制度の創設
管理が行き届いていない専有部分や共有部分について、裁判所が利害関係人の請求により管理人を選任し、適切な管理を行う制度が新設されました。
4. 管理者の代理権の明確化
管理者等は、その職務に関し、区分所有者を代理することが明確化され、特に保険金の請求・受領に関しても代理権が認められました。
5. 行政の支援強化と民間団体の活用
都道府県知事等は、マンションの管理適正化の推進に必要な援助等を行うことができると認められる一般社団法人等を、マンション管理適正化支援法人として登録できることとされました。
6. 分譲事業者による管理計画の作成と認定制度
分譲事業者は、管理組合の管理者等へのマンションの管理の適切かつ円滑な引継ぎに関する事項等を記載した管理計画を作成し、都道府県知事等の認定を申請できる制度が創設されました。
これらの改正により、老朽化マンションの再生や管理の適正化が進むことが期待されています。