標準管理規約

標準管理規約(敷地及び共用部分等の共有)

マンションなどの共同住宅では、各居住者が自分勝手に生活してしまうと廊下やゴミ置場をはじめ、マンション館内全体が荒れてしまったり、居住者間のトラブルが絶えないようなマンションとなってしまいます。

このようなことを防ぐため、分譲マンションを購入すると、そのマンションの区分所有者で構成される団体(規約上で「管理組合」と呼ばれることになる団体)へ強制的に加入をすることとなり、法律の定めにしたがってマンションを管理していくことになります。

その代表的な法律が分譲マンションなど区分所有建物の各所有者の権利やマンション全体の管理方法などを定めた「区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)」と呼ばれる法律になります。

しかし、居住者の属性や家族構成、立地、築年数、設備・・・などなど、世界に1つとして同じマンションなど存在しません。

そのため、区分所有法だけでは居住者の方たちの適切な暮らしや的確な建物の維持・管理をしていくことには無理が生じてしまいます。

そこで、区分所有法ではそれぞれの区分所有マンションにおいて独自のルールを定めるための規約を制定することを認めています。(ただし、規約で定められないこともあります。)

そして、その規約の標準的な見本を国土交通省が作成しており、公表されているものが「標準管理規約」と呼ばれるものです。

本記事では、2021年に改正された最新の標準管理規約(単棟型)における「敷地及び共用部分等の共有」について学び、理解を深めることができます。

共有(第9条)

標準管理規約第9条では「対象物件のうち敷地及び共用部分等は、区分所有者の共有とする。」と定められています。

共有持分(第10条)

標準管理規約第10条では「各区分所有者の共有持分は、別表第3に掲げるとおりとする。」と定められています。

第10条で述べられている「別表第3」とは規約本文の後に「各住戸の敷地及び共用部分等の共有持ち分割合」を別表第3として記載することを想定し、規定しています。

【マンション標準管理規約(単棟型)第10条関係コメント】

① 共有持分の割合については、専有部分の床面積の割合によることとする。
ただし、敷地については、公正証書によりその割合が定まっている場合、それに合わせる必要がある。
登記簿に記載されている面積は、内のり計算によるが、共有持分の割合の基準となる面積は、壁心計算(界壁の中心線で囲まれた部分の面積を算出する方法をいう。)によるものとする。

② 敷地及び附属施設の共有持分は、規約で定まるものではなく、分譲契約等によって定まるものであるが、本条に確認的に規定したものである。なお、共用部分の共有持分は規約で定まるものである。

③ なお、第46条関係③で述べている価値割合による議決権割合を設定する場合には、分譲契約等によって定まる敷地等の共有持分についても、価値割合に連動させることが考えられる。

標準管理規約と登記簿に記載されている専有部分の床面積の算出方法は異なっており、面積が違うことをおさえて下さい。

分割請求及び単独処分の禁止(第11条)

分割請求の禁止(第11条1項)

標準管理規約第11条1項では「区分所有者は、敷地又は共用部分等の分割を請求することはできない。」と定められています。

単独処分の禁止(第11条2項)

標準管理規約第11条2項では「 区分所有者は、専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して譲渡、抵当権の設定等の処分をしてはならない。」と定められています。

【マンション標準管理規約(単棟型)第11条関係コメント】

① 住戸を他の区分所有者又は第三者に貸与することは本条の禁止に当たらない。

② 倉庫又は車庫も専有部分となっているときは、倉庫(車庫)のみを他の区分所有者に譲渡する場合を除き、住戸と倉庫(車庫)とを分離し、又は専有部分と敷地及び共用部分等の共有持分とを分離して譲渡、抵当権の設定等の処分をしてはならない旨を規定する。

まとめ

本記事の標準管理規約上における「敷地及び共用部分等の共有」についてご理解頂けたでしょうか。

区分所有マンションは、敷地、共用部分、専有部分など多くの権利関係が存在するため、複雑となります。

また、専有部分の床面積など登記簿と標準管理規約上では異なるなど注意する部分もでてきます。

正しく理解していきましょう。

本記事も読んでいただきどうもありがとうございました。

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