標準管理規約

標準管理規約(専有部分等の範囲)

マンションなどの共同住宅では、各居住者が自分勝手に生活してしまうと廊下やゴミ置場をはじめ、マンション館内全体が荒れてしまったり、居住者間のトラブルが絶えないようなマンションとなってしまいます。

このようなことを防ぐため、分譲マンションを購入すると、そのマンションの区分所有者で構成される団体(規約上で「管理組合」と呼ばれることになる団体)へ強制的に加入をすることとなり、法律の定めにしたがってマンションを管理していくことになります。

その代表的な法律が分譲マンションなど区分所有建物の各所有者の権利やマンション全体の管理方法などを定めた「区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)」と呼ばれる法律になります。

しかし、居住者の属性や家族構成、立地、築年数、設備・・・などなど、世界に1つとして同じマンションなど存在しません。

そのため、区分所有法だけでは居住者の方たちの適切な暮らしや的確な建物の維持・管理をしていくことには無理が生じてしまいます。

そこで、区分所有法ではそれぞれの区分所有マンションにおいて独自のルールを定めるための規約を制定することを認めています。(ただし、規約で定められないこともあります。)

そして、その規約の標準的な見本を国土交通省が作成しており、公表されているものが「標準管理規約」と呼ばれるものです。

本記事では、2021年に改正された最新の標準管理規約(単棟型)における「専有部分等の範囲」について学び、理解を深めることができます。

専有部分の範囲(第7条)

区分所有権の対象(第7条1項)

標準管理規約第7条1項では「対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。」と定められています。

専有部分を他から区分する構造物の帰属(第7条2項)

標準管理規約第7条2項では「前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。」と定められています。

標準管理規約第7条2項第一号~三号

一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。

二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。

三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。

専有部分とされる設備(第7条3項)

標準管理規約第7条3項では「第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。」と定められています。

【マンション標準管理規約(単棟型)第7条関係コメント】

① 専有部分として倉庫又は車庫を設けるときは、「倉庫番号を付した倉庫」又は「車庫番号を付した車庫」を加える。また、全ての住戸に倉庫又
は車庫が附属しているのではない場合は、管理組合と特定の者との使用契約により使用させることとする。

② 利用制限を付すべき部分及び複数の住戸によって利用される部分を共用部分とし、その他の部分を専有部分とした。この区分は必ずしも費用の負担関係と連動するものではない。
利用制限の具体的内容は、建物の部位によって異なるが、外観を構成する部分については加工等外観を変更する行為を禁止し、主要構造部については構造的変更を禁止する趣旨である。

③ 第1項は、区分所有権の対象となる専有部分を住戸部分に限定したが、この境界について疑義を生じることが多いので第2項で限界を明らかにしたものである。

④ 雨戸又は網戸がある場合は、第2項第三号に追加する。

(第3項関係)
⑤ 「専有部分の専用に供される」か否かは、設備機能に着目して決定する。

第3項関係コメントに記載されている設備機能に着目というのは、その設備の機能が各住戸の専用のものか、共用のものかに着目して決定すると考えられます。

共用部分の範囲(第8条)

標準管理規約第8条では「対象物件のうち共用部分の範囲は、別表第2に掲げるとおりとする。」と定められています。

別表第2 共用部分の範囲

1 エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」

2 エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」

3 管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属

まとめ

本記事では標準管理規約における専有部分等の範囲についてお伝えしました。

一見すると、マンション各住戸内の窓やバルコニーは各住戸の専有部分と思われがちですが、共用部分となります。

また、玄関扉は錠と内部塗装部分のみ専有部分とされているなど細かく定められています。

マンションのような共同住宅では、各居住者皆さんがルールを守って適切に暮らしていくことが大切です。

専有部分と共用部分の違いを理解して、適切なマンションライフが過ごせるようにしましょう。

本記事も読んでいただきどうもありがとうございました。

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