マンションは購入か、賃貸か? 金利・住宅価格・管理費・家賃の上昇時代に考える住まい選び
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就職、結婚、出産、転勤、子どもの独立・・・
人生の節目を迎えるたびに、多くの人が「これからどこに住むか」という問題に向き合うことになります。
特に結婚や家族構成の変化をきっかけに、「マンションを購入するべきか、それとも賃貸のまま暮らすべきか」と悩む方は少なくありません。
かつては、
「家賃を払い続けても資産にならない」
「同じ支払額なら購入した方が得」
といった考え方が、マンション購入を後押しする大きな理由になっていました。
しかし、近年は状況が大きく変わっています。
マンション価格は高止まりし、住宅ローン金利も上昇局面に入りつつあります。
国土交通省の不動産価格指数でも、区分所有マンションの価格上昇は長期的に顕著で、2025年9月時点のマンション指数は222.2と、2010年を100とした水準から大きく上昇しています。
一方で、賃貸市場でも家賃は上昇傾向にあります。
アットホームの調査では、2025年に東京23区のシングル向きマンション平均家賃が10万円を超え、その後も最高値更新が続いているとされています。
つまり現在は、単純に「購入が得」「賃貸が安全」と言い切れない時代です。
本記事では、マンション購入派と賃貸派それぞれの考え方、メリット・デメリットを整理しながら、これからの住まい選びで何を重視すべきかを考えていきます。
目 次
Toggleマンション購入派
マンション購入派の考え方
マンションを購入する人の多くは、次のような考えを持っています。
「長く家賃を払い続けても、自分の資産にはならない」
「住宅ローンを返済すれば、将来的に自分のものになる」
「老後に住まいがある安心感を得たい」
これらはいずれも、購入の大きな魅力です。
実際、住宅ローンの返済のうち元金部分は、少しずつ自分の資産を形成していく側面があります。
家賃は支払った時点で終わりますが、ローン返済は将来の所有につながるという意味で、心理的な納得感があります。
また、ローンを完済すれば、管理費や修繕積立金、固定資産税などの負担は残るものの、毎月の住宅ローン返済はなくなります。
老後の住居費を抑えられる可能性がある点は、購入の大きなメリットです。
ただし、ここで注意したいのは、現在のマンション購入は以前よりもハードルが高くなっているということです。
住宅価格が上昇しているため、同じ広さ・同じ立地でも、以前より大きな住宅ローンを組まなければ購入できないケースが増えています。
さらに、住宅ローン金利も長く続いた超低金利の時代から、徐々に変化しつつあります。日本銀行は2025年6月時点で、無担保コールレートを0.5%程度で推移するよう促す金融市場調節方針を示しており、かつてのゼロ金利に近い環境とは異なる局面に入っています。
つまり、購入を検討する際には、「買えるかどうか」だけではなく、「金利が上がっても返済を続けられるか」「管理費や修繕積立金が上がっても家計が耐えられるか」まで考える必要があります。
マンションを購入するメリット
1. 将来的に資産になる可能性がある
マンション購入の最大のメリットは、やはり自分の所有物になることです。
住宅ローンを完済すれば、抵当権のない不動産として所有することができます。
将来的に住み続けることもできますし、状況によっては売却したり、賃貸に出したりすることも可能です。
特に東京都心部や交通利便性の高いエリアでは、マンション価格が購入時より上昇するケースもあります。
もちろん、すべてのマンションが値上がりするわけではありませんが、立地や管理状態の良いマンションは、資産価値を維持しやすい傾向があります。
ここで重要になるのが「管理の質」です。
どれだけ立地が良くても、管理組合の運営が不十分で、修繕積立金が不足し、建物の維持管理が適切に行われていなければ、資産価値は下がりやすくなります。
マンションは「部屋」だけを買うものではありません。
建物全体、管理組合、長期修繕計画、修繕積立金の状況まで含めて購入するものだと考えるべきです。
2. 団体信用生命保険による安心がある
住宅ローンを利用する場合、多くの金融機関では団体信用生命保険、いわゆる団信への加入が条件となります。
団信に加入していれば、ローン名義人が亡くなった場合などに、住宅ローンの残債が保険によって返済されます。
その結果、遺族はローンのないマンションを引き継ぐことができます。
これは、住宅ローンが単なる借金ではなく、家族を守る仕組みとして機能する側面があることを意味します。
もちろん、健康状態によって加入できない場合や、保障内容によって条件が異なる場合もあります。
そのため、ローンを組む際には金利だけでなく、団信の内容もよく確認することが大切です。
3. 老後の住まいの安心感を得やすい
賃貸の場合、老後も家賃を支払い続ける必要があります。
一方、購入したマンションで住宅ローンを完済していれば、住居費の中心は管理費・修繕積立金・固定資産税などになります。
もちろん、これらの費用も決して小さくありません。
特に近年は、修繕工事費や人件費、資材価格の上昇により、修繕積立金の増額が必要となるマンションも増えています。
それでも、ローン完済後に住まいを確保できているという安心感は、購入ならではの大きなメリットです。
4. 住まいを自分好みにしやすい
購入したマンションであれば、専有部分については、管理規約や使用細則の範囲内でリフォームや設備交換を行うことができます。
キッチンや浴室、壁紙、床材などを自分好みに変更できる点は、賃貸にはない魅力です。
ただし、マンションでは専有部分であっても完全に自由というわけではありません。
床材の遮音性能、給排水管、電気容量、窓や玄関ドアなど、管理規約上の制約がある部分もあります。
購入後に「思っていたリフォームができなかった」とならないよう、事前に管理規約や細則を確認しておくことが大切です。
マンションを購入するデメリット
1. 住宅価格が高く、購入時の負担が大きい
現在のマンション購入で最も大きな壁は、価格の高さです。
特に都市部では、新築マンションだけでなく中古マンションの価格も上昇しています。
購入価格が高くなれば、当然ながら住宅ローンの借入額も大きくなります。
以前なら無理なく購入できたエリアでも、現在では返済負担率が高くなりすぎるケースがあります。
住宅ローンの審査に通ることと、実際に無理なく返済できることは別問題です。
購入時には、毎月のローン返済額だけでなく、管理費、修繕積立金、固定資産税、火災保険料、将来のリフォーム費用まで含めて考える必要があります。
2. 金利上昇リスクがある
変動金利で住宅ローンを組む場合、将来的に金利が上昇すると返済額が増える可能性があります。
これまでは長期間にわたり低金利が続いてきたため、変動金利を選ぶ人が多くいました。
しかし、今後も同じ環境が続くとは限りません。
固定金利は返済額が安定する一方で、変動金利よりも当初金利が高くなる傾向があります。
変動金利は当初の返済額を抑えやすい反面、将来の金利上昇リスクを抱えます。
したがって、「今の返済額なら払える」というだけで判断するのは危険です。
金利が上がった場合でも生活が成り立つか、教育費や老後資金に影響しないかを慎重に確認する必要があります。
3. 管理費・修繕積立金の上昇リスクがある
マンションを購入すると、住宅ローンとは別に、毎月の管理費と修繕積立金を支払う必要があります。
管理費は、清掃、管理員業務、設備点検、エレベーター保守、共用部分の電気代などに使われます。
修繕積立金は、将来の大規模修繕工事や設備更新に備えるためのお金です。
近年は、人件費、資材費、工事費、電気料金などの上昇により、管理費や修繕積立金の増額を検討せざるを得ないマンションが増えています。
国土交通省も、段階増額積立方式を採用している場合、将来的な値上げが前提となる一方で、築年数が経過するほど値上げが難しくなる傾向があると説明しています。
つまり、購入時の管理費・修繕積立金が安いからといって、将来もその金額で済むとは限りません。
むしろ、修繕積立金が極端に安いマンションは、将来的に大幅な値上げや一時金徴収が必要になる可能性があります。
4. 簡単に住み替えられない
購入後に転勤、離婚、親の介護、子どもの進学、近隣トラブルなどが発生し、住み替えが必要になることもあります。
その場合、売却するか、賃貸に出すかを検討することになります。
しかし、売却しようとしても希望価格で売れるとは限りません。
住宅ローン残高が売却価格を上回る、いわゆるオーバーローンの状態になると、売却自体が難しくなる場合もあります。
また、賃貸に出す場合も注意が必要です。
普通借家契約では、貸主の都合だけで簡単に契約を終了させることはできません。
将来自分が戻って住みたいと考えている場合には、定期借家契約などの活用を検討する必要があります。
マンション購入は、住まいの自由度を高める一方で、人生の変化に対する柔軟性を下げる面もあるのです。
マンション賃貸派
マンション賃貸派の考え方
一方で、賃貸を選ぶ人にもさまざまな考え方があります。
大きく分けると、次のようなタイプがあります。
1.購入したいが、資金面から当面は賃貸を選んでいる人
2.将来の購入に備えて、今は賃貸で資金を貯めている人
3.転勤や家族構成の変化に備え、あえて賃貸を選んでいる人
4.住宅を所有することにこだわらず、賃貸で十分と考える人
5.良質な賃貸住宅を選び、住み替えながら生活を楽しむ人
かつては、賃貸は「購入できるまでの一時的な住まい」と見られることもありました。
しかし現在では、あえて賃貸を選ぶ人も増えています。
所有することによる負担を避け、ライフスタイルに合わせて住まいを変えられることに価値を見出す人も少なくありません。
マンションを賃貸するメリット
1. ライフスタイルに合わせて住み替えやすい
賃貸の最大のメリットは、柔軟性です。
転勤が決まったとき、子どもが生まれたとき、子どもが独立したとき、親の介護が必要になったときなど、人生の変化に合わせて住み替えることができます。
購入の場合、売却や賃貸化の手続きが必要になりますが、賃貸であれば契約期間や解約手続きに従って比較的スムーズに移動できます。
人生の変化が大きい時期には、この柔軟性は大きな安心材料になります。
2. 建物の老朽化リスクを負いにくい
分譲マンションを所有している場合、建物の老朽化に伴う修繕費用は最終的に区分所有者が負担します。
大規模修繕、給排水管更新、エレベーター更新、機械式駐車場の修繕など、築年数が進むほど費用負担は重くなりやすくなります。
一方、賃貸であれば、建物全体の大規模修繕費用を直接負担することはありません。
もちろん、その費用は長期的には家賃に反映される可能性がありますが、突発的な一時金徴収や管理組合の合意形成に巻き込まれることは基本的にありません。
この点は、賃貸の大きなメリットです。
3. 初期費用を抑えやすい
マンション購入には、頭金、諸費用、登記費用、ローン手数料、火災保険料、不動産取得税など、多くの初期費用がかかります。
一方、賃貸でも敷金、礼金、仲介手数料、保証料、引越し費用などは必要ですが、購入に比べれば初期負担は抑えやすい傾向があります。
手元資金を残しやすいことは、家計の安全性を高めるうえで重要です。
特に、収入が不安定な時期や、教育費・介護費など将来の支出が見込まれる場合には、住まいに資金を固定しすぎないことが安心につながります。
4. 住宅ローン金利の影響を直接受けない
賃貸の場合、住宅ローンを組まないため、金利上昇によって毎月のローン返済額が増えるリスクはありません。
これは、金利上昇局面では大きなメリットです。
ただし、賃貸も金利上昇と無関係ではありません。
貸主側のローン負担や物価上昇、管理費・修繕費の増加などが、将来的に家賃へ反映される可能性があります。
つまり、賃貸は住宅ローン金利リスクを直接負わない一方で、家賃上昇リスクはあるということです。
マンションを賃貸するデメリット
1. 家賃を払い続けても資産にはならない
賃貸の最大のデメリットは、どれだけ長く家賃を支払っても、自分の資産にはならないことです。
これは、購入との最も大きな違いです。
若い時期は問題なく家賃を支払えても、退職後に収入が減った場合、家賃負担が重く感じられる可能性があります。
老後も賃貸で暮らす場合には、年金収入の中から家賃を払い続ける前提で資金計画を立てる必要があります。
2. 家賃上昇リスクがある
近年、都市部を中心に家賃は上昇傾向にあります。
建築費、人件費、管理費、修繕費、固定資産税、金利などが上昇すれば、貸主側も家賃を見直す動機が強くなります。
特に人気エリアでは、更新時や住み替え時に、以前より高い家賃を提示されることもあります。
賃貸は自由に住み替えられる反面、住み替え先の家賃相場が上がっていれば、生活費全体が膨らむ可能性があります。
「いつでも引っ越せる」は賃貸のメリットですが、「同じ条件の物件に同じ家賃で住み替えられる」とは限らない点に注意が必要です。
3. 高齢期の入居審査に不安がある
賃貸では、高齢になるほど入居審査が厳しくなる場合があります。
貸主側が、孤独死、家賃滞納、保証人の有無などを懸念することがあるためです。
近年は高齢者向け賃貸や保証サービスも増えていますが、希望するエリアや条件の物件を自由に選べるとは限りません。
老後も賃貸を前提にする場合には、早めに住まい方や資金計画を考えておくことが大切です。
4. リフォームや改装の自由度が低い
賃貸住宅では、原則として借主が自由にリフォームや改装を行うことはできません。
壁紙を変える、床材を張り替える、設備を交換するなどの行為は、貸主の承諾が必要です。
自分好みの空間を作りたい人にとっては、この制約はデメリットになります。
近年ではDIY型賃貸借契約などもありますが、一般的な賃貸住宅ではまだ限定的です。
これからの時代に重要な判断軸
購入か賃貸かを考える際、以前は「総支払額がどちらの方が安いか」という比較が中心でした。
しかし、これからはそれだけでは不十分です。
特に重要なのは、次の5つの視点です。
1. 収入の安定性
住宅ローンを長期間返済できるだけの収入が見込めるか。
これは購入判断の基本です。
現在の収入だけでなく、転職、独立、病気、介護、教育費などの変化も考える必要があります。
2. 住み替えの可能性
今後、転勤や家族構成の変化がありそうか。
住む場所が変わる可能性が高い人は、賃貸の柔軟性が大きなメリットになります。
一方、長く住み続けたいエリアが決まっている人にとっては、購入が安心につながる場合もあります。
3. 管理費・修繕積立金への理解
マンション購入では、住宅ローンだけでなく、管理費・修繕積立金の将来負担を必ず確認する必要があります。
現在の金額が安くても、将来の大規模修繕や設備更新に備えて増額が必要になることがあります。
購入前には、長期修繕計画、修繕積立金残高、過去の修繕履歴、管理組合の運営状況を確認することが重要です。
4. 金利上昇への耐性
変動金利で住宅ローンを組む場合、金利が上がったときの返済額を試算しておくべきです。
「今なら払える」ではなく、「上がっても払えるか」を確認することが大切です。
5. 住まいに何を求めるか
資産形成を重視するのか。
自由な住み替えを重視するのか。
老後の安心を重視するのか。
日々の生活の快適さを重視するのか。
住まい選びに正解はありません。
大切なのは、自分と家族にとって何が最も大切なのかを明確にすることです。
まとめ:購入か賃貸かではなく、「どんな暮らしを選ぶか」
マンションの購入と賃貸は、どちらが正解というものではありません。
購入には、資産形成、老後の安心、住まいの自由度というメリットがあります。
一方で、住宅ローン、金利上昇、管理費・修繕積立金の増額、住み替えの難しさといったリスクもあります。
賃貸には、柔軟な住み替え、初期費用の軽さ、建物老朽化リスクを直接負いにくいというメリットがあります。
一方で、家賃を払い続けても資産にならないこと、家賃上昇リスク、老後の住まいの不安といった課題もあります。
近年は、住宅価格、金利、管理費、修繕費、家賃のいずれも上昇傾向にあり、単純な損得比較だけでは判断しにくい時代になっています。
だからこそ、数字だけではなく、暮らし方、働き方、家族構成、将来の安心感まで含めて考えることが大切です。
マンションは、単なる住居ではありません。
人生の時間を過ごす場所であり、家族の暮らしを支える器です。
購入か、賃貸か。
その答えは、人によって異なります。
大切なのは、周囲の意見や営業トークに流されることではなく、自分と家族にとって納得できる選択をすることです。
これからの住まい選びでは、「どちらが得か」だけでなく、「どちらが自分らしく、安心して暮らせるか」という視点を持つことが、ますます重要になっていくでしょう。
本日も読んでいただき、どうもありがとうございました。
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