区分所有法

区分所有法(集会の議長・議事録・管理者の定め等)

分譲マンションでは、一棟のマンションの住戸(部屋)を区分けして販売します。

このように住戸を区分して所有する際の、各区分所有者の権利やマンション全体の管理方法などを定めた法律を区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)と呼びます。

この記事では、区分所有法における「集会の議長・議事録・管理者の定めなど」について知ることができます。

集会の議長(第41条)

区分所有法第41条では「集会においては、規約に別段の定めがある場合及び別段の決議をした場合を除いて、管理者⼜は集会を招集した区分所有者の⼀⼈が議⻑となる。」と定められています。

管理者が置かれている管理組合

規約に別段の定めがある場合、又は別段の決議をした場合を除いて管理者が必ず議長となる。

管理者が置かれていない管理組合

区分所有者及び議決権の1/5以上を有する区分所有者が連名で集会の招集を行うが、規約に別段の定めがある場合、又は別段の決議をした場合を除いて集会の招集をした区分所有者の1人が議長となる。

※集会を招集するための区分所有者及び議決権の定数は規約に定めることにより1/5以上より減ずることが可能です。(区分所有法第34条5項)

議事録(第42条)

集会議事録の作成方法(第42条1項)

区分所有法第42条1項では「集会の議事については、議⻑は、書⾯⼜は電磁的記録により、議事録を作成しなければならない。」と定められています。

集会の議事録を作成することは議長の義務です。
下記3つのいずれかの事項に該当した場合は区分所有法第71条の定めにより議長は20万円以下の過料に処されますのでくれぐれも注意が必要です。
①議事録を作成しなかった場合
②議事録に記載(記録)すべき事項を記載、記録しなかった場合
③議事録に虚偽の記載(記録)をした場合

罰則(区分所有法第71条)
次の各号のいずれかに該当する場合には、その⾏為をした管理者、理事、規約を保管する者、議⻑⼜は清算⼈は、⼆⼗万円以下の過料に処する。

(区分所有法第71条三)
第四⼗⼆条第⼀項から第四項まで(これらの規定を第六⼗六条において準⽤する場合を含む。)の規定に違反して、議事録を作成せず、⼜は議事録に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をしたとき。

集会議事録の記載事項(第42条2項)

区分所有法第42条2項では「 議事録には、議事の経過の要領及びその結果を記載し、⼜は記録しなければならない。」と定められています。

議事録に記載(記録)する事項は、集会における議題、議案、討議の内容などの要領(要約)とその結果(各議案の可決or否決)です。
集会出席者が発言した一元一句まで正確に記載(記録)することまでは求められてはいません。

集会議事録の署名(第42条3項)

区分所有法第42条3項では「 前項の場合において、議事録が書⾯で作成されているときは、議⻑及び集会に出席した区分所有者の⼆⼈がこれに署名しなければならない。」と定めれられています。

議事録への署名はしなければいけませんが、押印は不要ということです。

集会議事録の署名(第42条4項)

区分所有法第42条4項では「 第⼆項の場合において、議事録が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報については、議⻑及び集会に出席した区分所有者の⼆⼈が⾏う法務省令で定める署名に代わる措置を執らなければならない。」と定められています。

法令省令で定める署名とは、法令省令で認めている電子署名のことを指しています。

集会議事録の署名(第42条5項)

区分所有法第42条5項では「第三⼗三条の規定は、議事録について準⽤する。」と定められています。

第33条というのは「規約の保管及び閲覧」について定めた規定のことです。

参考までに区分所有法第33条の各条文を記載します。

区分所有法第33条(規約の保管及び閲覧)
(第33条1項)
規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使⽤している区分所有者⼜はその代理⼈で規約⼜は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。

(第33条2項)
前項の規定により規約を保管する者は、利害関係⼈の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧(規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める⽅法により表⽰したものの当該規約の保管場所における閲覧)を拒んではならない。

(第33条3項)
規約の保管場所は、建物内の⾒やすい場所に掲⽰しなければならない。

事務の報告(第43条)

区分所有法第43条では「管理者は、集会において、毎年⼀回⼀定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。」と定めれられています。

管理者を置いていない管理組合では、事務に関する報告をする必要はないということになります。

まとめ

区分所有法における集会の議長・議事録・管理者の定め等について理解頂けたでしょうか。

管理組合にとって、集会は最高意思決定機関と呼ばれるほど重要な事項となります。

そして、そこで決定した事項の議事録の作成もまた重要な事項で、それを怠ると管理者は20万円以下の過料に処されるような罰則もあります。

集会における管理者の義務など正しく理解することが大切です。

本記事も読んでいただきどうもありがとうございました。

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