マンション管理組合の総会とは?仕組み・重要性と「出席の意義」をわかりやすく解説【2026年改正区分所有法対応】
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分譲マンション(区分所有マンション)を購入すると、区分所有法(正式名称「建物の区分所有等に関する法律」)に基づき、そのマンションの区分所有者全員で構成される団体の一員に自動的になります。
多くのマンションでは、分譲後まもなく「設立総会」が開催されて管理組合が結成され、各区分所有者は管理組合員となります。そして区分所有者である限り、管理組合から脱退することはできません。
自らはそのマンションに居住せず、住戸を賃貸に出している区分所有者(投資用オーナーなど)も例外ではなく、管理組合員としての立場と責任を負います。その管理組合が、毎年必ず開催しなければならないのが「総会」です。
総会は、マンションを適切に管理していくためのさまざまな事項を決定する最高意思決定機関であり、管理組合活動のなかで最も重要なものといっても過言ではありません。
そして2026年(令和8年)4月1日には、約23年ぶりとなる改正区分所有法が施行され、この総会の決議のしくみが大きく見直されました。本記事では、改正の内容も踏まえながら総会のしくみと重要性を整理し、ご自身の資産価値と、そこで暮らす方々の住環境を守るための「総会出席の意義」をお伝えします。
目 次
Toggle管理組合の総会では何を決めるのか?
総会では、マンションを適切に管理・維持し、居住者の利便性や資産価値の向上を図るために、さまざまな事項を決定します。多くの管理組合で総会に上程される議案は、おおむね次の4つに整理できます。
①管理組合運営に必要不可欠なこと
予算・決算、財務状況、修繕計画、保険、役員の選任など、組合運営の根幹にかかわる議案です。総会の議題のなかでも最も重要なものといえます。
②新たな施設・設備の提案
共用スペースの改修や新しい設備の導入など、共用施設・設備の追加や変更に関する議案です。
③規約・使用細則などの改正
組合運営の見直しに伴う管理規約の改正や、居住者の生活ルールを定めた使用細則の改正に関する議案です。
④管理費・修繕積立金などの改定
組合員から毎月徴収する管理費や修繕積立金の金額を改定する議案です。
管理組合総会の種類
マンション管理組合の総会は、大きく「通常総会」と「臨時総会」の2種類に分けられます。
通常総会
管理者(一般には理事長)が選任されている管理組合では、少なくとも毎年1回、必ず開催しなければならない総会です。前年度の決算報告、次年度の予算案、修繕計画、役員の選任など、組合運営に欠かせない重要事項を議決します。
臨時総会
通常総会以外に、必要が生じたときに開催される総会です。緊急性のある案件などに対応するため、不定期に開催されます。
総会の成立要件(定足数)と、2026年改正による「出席者多数決」への転換
ここが、今回の法改正で最も大きく変わったポイントです。
改正前のしくみ
改正前の区分所有法は、全区分所有者・全議決権を母数とする多数決(絶対多数決)が原則でした。この方式では、欠席者は事実上「反対」と同じ扱いになってしまうため、出席率の低いマンションでは決議そのものが成立しにくいという問題がありました。
そこで多くのマンションが採用する標準管理規約では、普通決議について「議決権総数の半数以上の出席(定足数)」を満たしたうえで、「出席組合員の議決権の過半数」で決議できるよう緩和していました。
改正後のしくみ
改正区分所有法では、この考え方が一歩進み、「出席者多数決」が法律上の原則となりました。すなわち、総会の議事は、原則として出席した区分所有者および議決権の各過半数で決することになります。普通決議については、法律上の定足数は定められていません。
この改正に合わせて、2025年10月に改正された標準管理規約でも、総会の定足数が「議決権総数の半数以上」から「過半数」へと改められました。「半数以上」はちょうど50%でも満たすのに対し、「過半数」は50%を超える必要がある点が異なります。
なお、ここでいう「出席者」には、総会当日に会場へ来場する組合員だけでなく、事前に議決権行使書・委任状を提出した組合員も含まれます。会場に足を運べない場合でも、書面やWeb等で意思を示せば「出席」として扱われる点は、改正後も変わりません。
新設された「所在等不明区分所有者の除外」制度
あわせて、所在がわからない区分所有者(住民票等の調査でも所在が判明しない、相続人が不明など)について、裁判所の認定により、その議決権をすべての決議の母数(分母)から除外できる制度が新設されました。所在不明者を多く抱えるマンションでも、決議が前に進みやすくなります。
ただし、この制度を利用するには管理組合としての決議や裁判所への申立てが必要であり、前提として正確な区分所有者名簿の整備が欠かせません。
総会で上程された議案の決議の種類と可決要件(2026年改正後)
総会の決議は、その重要度に応じて要件が定められています。改正によって母数の考え方が変わったため、改正後は次の3つのタイプとして整理すると分かりやすくなります。
①普通決議
【可決要件】
出席者(議決権行使書・委任状を含む)の議決権の過半数の賛成で可決。
【主な議案の例】
●年間の事業報告・収支決算
●管理会社との管理委託契約(更新)
●事業計画案・収支予算案
●役員の選任・解任
●管理費・修繕積立金などの改定
●大規模修繕工事の実施
※共用部分の「形状又は効用の著しい変更(重大変更)」を伴う場合は、下記②の特別決議となります。
②特別決議(区分所有権の処分を伴わないもの)
【可決要件】
区分所有者および議決権の各過半数の出席(定足数)を満たしたうえで、出席者の各4分の3以上の賛成で可決。
改正前は「組合員総数・議決権総数の各4分の3以上」でしたが、改正により母数が「出席者」に変更されました。
【主な議案の例】
●管理規約の改正
※使用細則は普通決議で改正可能です。
●共用部分の著しい変更(重大変更)を伴う工事
●エレベーターの増設・新設
③特別決議(区分所有権の処分を伴うもの)
【可決要件】
区分所有者総数および議決権総数の各5分の4以上の賛成で可決。②と異なり、出席者多数決の対象外で、全体が母数のままです。
【主な議案の例】
●マンションの建替え
●マンションの更新
●マンションの取壊し
●マンションの敷地売却
[改正のポイント]建替え要件の緩和
建替え決議等のマンション再生決議は原則として「各5分の4以上」のままですが、耐震性不足など一定の客観的事由に該当する場合には、例外的に「各4分の3以上」に緩和されました。
◆ 数字でみる、可決の難易度の違い
【前提条件】
住戸数:40戸
組合員数:40名
1住戸につき1議決権
標準管理規約を採用
①普通決議の場合
●定足数(標準管理規約):過半数の出席が必要 → 21名以上
●仮に21名が出席した場合 → 11個以上の賛成で可決
②特別決議(規約変更など/区分所有権の処分を伴わないもの)の場合
●定足数:過半数の出席が必要 → 21名以上
●仮に21名が出席した場合 → 出席者の4分の3以上、すなわち16個以上の賛成で可決
●改正前は「総数の4分の3」=30個以上が必要でした。
③特別決議(建替えなど/区分所有権の処分を伴うもの)の場合
●出席者数に関係なく、区分所有者総数・議決権総数の各5分の4以上が必要 → 32個以上の賛成で可決
●耐震性不足等で要件が緩和される場合は、各4分の3=30個以上となります。
同じ「特別決議」でも、②は出席者が母数となるため、出席状況によっては従来よりかなり少ない賛成数で可決し得ます。一方、③は全体が母数のまま据え置かれており、可決の難易度は依然として高いことが分かります。
まとめ:改正で「出席の意義」はむしろ高まった
最後に、本記事の要点を整理します。
◆ 総会で決めること(一例)
●予算・修繕計画など、組合運営に必要不可欠なこと
●新たな施設・設備の提案
●規約・使用細則などの改正
●管理費・修繕積立金などの改定
◆ 総会の種類
●通常総会:毎年1回、必ず開催される総会
●臨時総会:必要が生じたときに開催される総会
◆ 成立要件(定足数)と決議のしくみ(2026年改正後)
●普通決議:法律上の定足数はなく、出席者の議決権の過半数で決議。なお、標準管理規約では定足数を「過半数」と規定。
●特別決議(規約変更・重大変更・復旧など):過半数の出席を前提に、出席者の4分の3以上で決議。母数が「出席者」に変更。
●特別決議(建替えなどマンション再生決議):従来どおり、区分所有者総数・議決権総数の各5分の4以上。客観的な事由が認められる場合、5分の4以上から4分3以上に緩和。
●所在等不明区分所有者は、裁判所の認定によりすべての決議の母数から除外できる制度が新設。
ここで強調しておきたいのは、今回の改正によって、総会出席の意義はむしろ高まったということです。
「出席者多数決」への転換により、欠席者が多くても重要な議案が可決できるようになりました。これは決議の円滑化という意味では前進ですが、裏を返せば、ごく一部の出席者だけでマンションの将来が決まってしまうことも起こり得るということです。「気づいたら知らないうちに重要な方針が決まっていた」という事態を避けるためにも、一人ひとりが総会に関心を持ち、出席(議決権行使書・委任状の提出を含む)を通じて意思を示すことが、これまで以上に大切になります。
加えて改正区分所有法では、区分所有者には建物の管理が適正かつ円滑に行われるよう相互に協力する義務があることが、新たに明文化されました。「誰かに任せておけばよい」「自分には関係ない」ではなく、所有者一人ひとりが当事者意識を持つことが、法律の趣旨としても求められているのです。
総会への参加は、ご自身が所有するマンションの資産価値を守り、そこで暮らす方々の適切な住環境を維持・向上させるための、最も基本的で確かな一歩です。次回の総会には、ぜひ前向きな気持ちで臨んでみてください。
最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。
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