分譲マンションでは、一棟のマンションの住戸(部屋)を区分けして販売します。
このように住戸を区分して所有する際の、各区分所有者の権利やマンション全体の管理方法などを定めた法律を区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)と呼びます。
この記事では、区分所有法における「罰則」について知ることができます。
罰則(第71条)
区分所有法第71条では「次の各号のいずれかに該当する場合には、その⾏為をした管理者、理事、規約を保管する者、議⻑⼜は清算⼈は、⼆⼗万円以下の過料に処する。」と定められています。
⼀ 第三⼗三条第⼀項本⽂(第四⼗⼆条第五項及び第四⼗五条第四項(これらの規定を第六⼗六条において準⽤する場合を含む。)並びに第六⼗六条において準⽤する場合を含む。以下この号において同じ。)⼜は第四⼗七条第⼗⼆項(第六⼗六条において準⽤する場合を含む。)において読み替えて適⽤される第三⼗三条第⼀項本⽂の規定に違反して、規約、議事録⼜は第四⼗五条第四項(第六⼗六条において準⽤する場合を含む。)の書⾯若しくは電磁的記録の保管をしなかつたとき。
⼆ 第三⼗三条第⼆項(第四⼗⼆条第五項及び第四⼗五条第四項(これらの規定を第六⼗六条において準⽤する場合を含む。)並びに第六⼗六条において準⽤する場合を含む。)の規定に違反して、正当な理由がないのに、前号に規定する書類⼜は電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める⽅法により表⽰したものの閲覧を拒んだとき。
三 第四⼗⼆条第⼀項から第四項まで(これらの規定を第六⼗六条において準⽤する場合を含む。)の規定に違反して、議事録を作成せず、⼜は議事録に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、若しくは虚偽の記載若しくは記録をしたとき。
四 第四⼗三条(第四⼗七条第⼗⼆項(第六⼗六条において準⽤する場合を含む。)において読み替えて適⽤される場合及び第六⼗六条において準⽤する場合を含む。)の規定に違反して、報告をせず、⼜は虚偽の報告をしたとき。
五 第四⼗七条第三項(第六⼗六条において準⽤する場合を含む。)の規定に基づく政令に定める登記を怠つたとき。
六 第四⼗⼋条の⼆第⼀項(第六⼗六条において準⽤する場合を含む。)の規定に違反して、財産⽬録を作成せず、⼜は財産⽬録に不正の記載若しくは記録をしたとき。
七 理事若しくは監事が⽋けた場合⼜は規約で定めたその員数が⽋けた場合において、その選任⼿続を怠つたとき。
⼋ 第五⼗五条の七第⼀項⼜は第五⼗五条の九第⼀項(これらの規定を第六⼗六条において準⽤する場合を含む。)の規定による公告を怠り、⼜は不正の公告をしたとき。
九 第五⼗五条の九第⼀項(第六⼗六条において準⽤する場合を含む。)の規定による破産⼿続開始の申⽴てを怠つたとき。
⼗ 第五⼗六条の⼆第⼆項(第六⼗六条において準⽤する場合を含む。)の規定による検査を妨げたとき。
上記の内容では全く理解できない方も多いと思いますので、どのような時に20万円の過料に処せられるかまとめてみます。
① 管理者・管理組合法人の理事による「規約・集会の議事録」、「書面決議の書面等」の保管義務違反
② 管理者・管理組合法人の理事による「規約・集会の議事録」、「書面決議の書面等」の閲覧の拒絶
③ 集会の議長による「集会の議事録」の作成義務違反(議事録不作成、議事録に記載・記録すべき事項の不記載・不記録、議事録に虚偽の記載・記録など)
④ 管理者・管理組合法人の理事による「集会での毎年1回一定の時期における」事務報告義務違反
⑤ 管理組合法人の理事・清算人による「管理組合法人等」の登記義務違反
⑥ 管理組合法人の理事による「財産目録」の作成義務違反
⑦ 管理組合法人の理事による管理組合法人の「理事・監事」の選任手続きを怠ったとき
⑧ 管理組合法人の清算人が「債権者に対し⼀定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告」又は「破産⼿続開始の申⽴ての公告」を怠り、⼜は不正の公告をしたとき
⑨ 管理組合法人の清算人が「破産⼿続開始の申⽴て」を怠ったとき
⑩ 管理組合法⼈の「解散及び清算の監督に必要な裁判者による検査」を妨げたとき
十万円以下の過料の罰則規定(第72条)
区分所有法第72条では「第四⼗⼋条第⼆項(第六⼗六条において準⽤する場合を含む。)の規定に違反した者は、⼗万円以下の過料に処する。」と定められています。
区分所有法第48条第2項(名称)
管理組合法⼈でないものは、その名称中に管理組合法⼈という⽂字を⽤いてはならない。
区分所有法上で10万円以下の過料に処される事項は、管理組合法人ではない組合が、管理組合法人の名称を使用した時だけとなります。
まとめ
本記事の区分所有法における罰則規定についてご理解頂けたでしょうか。
知らなかった方も多いと思いますが、管理者、理事長及び議長などの責任は重いものとなります。
多くの管理組合では、管理を委託している建物管理会社の担当者がしっかりと対応してくれていることが多いです。
しかし、なかには業務のずさんな建物管理会社では本記事の罰則規定のある重要な業務でさえ怠っている場合もあります。
そして、実際にしかるべき機関より調査があり、指摘かあった際には、建物管理会社が業務支援を怠っていたとしても、管理者、理事長などが責任をとらなければいけない可能性も十分に考えられます。
管理組合の管理者、理事長などを務めている。これから務める予定という方たちは本記事の内容を理解し、建物管理会社の担当者と普段からコミュニケーションをとって適切な管理ができるように心がけて下さい。
本記事も読んでいただきどうもありがとうございました。
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