多くのマンションでは、受付業務、清掃業務、ゴミの搬出、共用部の巡回、照明・水道・建物外観などの日常点検を行うために、管理員、いわゆる「管理人」が勤務しています。

朝の通勤途中などにマンションの前を通ると、清掃やゴミ出し、館内巡回をしている管理員の姿を見かけることも多いのではないでしょうか。

一方で、実際にそのマンションに住んでいる居住者や、管理組合の理事であっても、管理員が日々どのような業務を行っているのか、また、どこまでが管理員の業務範囲なのかを正確に把握している方は、意外と少ないものです。

本記事では、マンション管理員の主な仕事内容や業務範囲、そして管理員の業務範囲外となる代表的な内容について解説します。

管理員の業務範囲を正しく理解することで、居住者からの過度な要求や誤解を防ぎ、管理組合としてより適切なマンション運営を行うための参考にしていただければと思います。

マンション管理員の主な業務範囲

マンション管理員の仕事内容は、マンションの規模や管理体制によって異なります。

たとえば、小規模から中規模程度のマンションでは、管理員が1人で勤務し、受付業務、清掃業務、ゴミ搬出、日常点検などを幅広く担当するケースが多く見られます。

一方で、100戸を超えるような中規模以上のマンションや、比較的管理体制が充実しているマンションでは、管理員と清掃員が別々に配置されていることもあります。

また、高級マンションなどでは、小規模であっても管理員のほかに清掃員、コンシェルジュ、警備員などが勤務している場合もあります。

このように、マンションごとの管理体制によって管理員の業務範囲は異なりますが、ここでは小規模から中規模マンションで比較的多く見られる「管理員1名勤務体制」を前提に、一般的な業務内容を見ていきます。

管理員の1日の業務の流れ

一般的な管理員の1日の業務の流れは、以下のようになります。

管理員の主な1日の業務例

  1. 出勤報告
  2. 防犯カメラの動作確認
  3. 管理会社、業者、居住者などからの連絡事項の確認・対応
  4. ゴミ搬出作業
  5. マンション館内・館外の巡回
  6. ゴミ置場の整理・清掃
  7. 共用部の清掃
  8. 日常点検業務
  9. 受付・掲示・配布業務
  10. 管理日報、清掃チェック表などの記入
  11. 退勤報告

もちろん、すべてのマンションでこのとおりの業務が行われているわけではありません。

管理員と清掃員が別々に勤務しているマンションでは、ゴミ搬出、ゴミ置場の清掃、共用部清掃などは清掃員が担当し、管理員は受付業務や巡回、点検、管理会社との連絡業務などを中心に行うこともあります。

管理員の業務範囲は契約書で確認する

多くのマンションでは、管理組合が管理会社と管理委託契約を締結し、その管理会社を通じて管理員が配置されています。

この場合、管理員の業務内容は、管理組合と管理会社との間で締結している管理委託契約書や、その別表に記載されていることが一般的です。

つまり、原則として、管理委託契約書に記載されている内容が管理員の業務範囲となります。

区分所有者の方は、管理組合の総会時に管理会社から配布される重要事項説明書や管理委託契約書の別表を確認してみるとよいでしょう。そこに「管理員業務」や「管理員の日常業務」として、具体的な業務内容が記載されていることがあります。

また、管理会社を通さず、管理組合が管理員派遣会社などと直接契約している場合もあります。このような場合も、契約時に定めた業務内容が管理員の業務範囲となります。

もし契約書に管理員の業務範囲が具体的に記載されていない場合は、後々トラブルの原因となる可能性があります。そのため、管理組合としては、管理員の業務内容を明確に記載した契約書に見直すことをおすすめします。

管理員の業務範囲ではないこと

前述のとおり、管理員の業務範囲は、原則として管理委託契約書や業務仕様書などに記載された内容に基づきます。

そのため、契約書に記載されていない業務については、基本的には管理員の業務範囲外となります。

また、管理員の業務と誤解されやすい内容については、管理委託契約書の中に「業務範囲外」と明記されている場合もあります。

その代表例が、ゴミの分別作業です。

ゴミの分別は管理員の業務ではない

管理員は、居住者がゴミ置場に出したゴミを、収集日に合わせてゴミ置場から回収場所へ搬出する業務を行うことがあります。

しかし、可燃ゴミの中に缶・瓶・不燃物などが混ざっていたり、分別ルールが守られていないために回収業者が引き取らないゴミを、管理員が分別し直すことは、通常、管理員の業務範囲ではありません。

ところが、居住者や管理組合の理事の中には、「ゴミ置場に出されたゴミは管理員が整理してくれるもの」と誤解している方もいます。

そのため、分別されていないゴミが回収されず、何日もゴミ置場に残っていると、管理員や管理会社にクレームが寄せられることがあります。

しかし、本来、ゴミの分別はゴミを出した本人が行うべきものです。

分別されていないゴミがある場合は、可能であれば搬出者本人に引き取ってもらい、正しく分別したうえで再度出してもらうことが望ましい対応です。

もちろん、実際には搬出者が特定できないことや、本人が引き取らないケースもあります。しかし、その場合であっても、ゴミが分別されていないことを管理員の怠慢と決めつけるべきではありません。

ゴミ出しルールの徹底は、管理員個人に任せるのではなく、管理組合、特に理事会が中心となって改善に取り組むべき課題です。

粗大ゴミ・リサイクル対象品の処分も管理員の業務ではない

ゴミ分別のほかにも、粗大ゴミやリサイクル対象品の処分について誤解されることがあります。

たとえば、有料で申し込みが必要な粗大ゴミや、パソコンなどのリサイクル回収が必要な物を、通常のゴミとしてマンションのゴミ置場に出してしまうケースがあります。

このようなゴミは、管理員が解体したり、処分手続きを代行したりするものではありません。

管理員ができることは、管理会社や理事会への報告、注意喚起文の掲示、ルール違反の状況確認などにとどまることが一般的です。

ルールを守らないゴミ出しが続く場合は、管理組合として、掲示、配布文、個別注意、防犯カメラ映像の確認、必要に応じた費用負担の検討など、組織的な対応を行うことが重要です。

高所作業や危険作業も管理員の業務範囲外

管理員の業務と誤解されやすいものとして、高所や危険箇所での作業もあります。

たとえば、脚立を使用して高い場所の照明を交換する作業、危険な場所の清掃、専門知識を要する設備の修理などは、管理員の業務範囲外とされることが一般的です。

管理員として勤務している方は高齢の方も多く、無理な作業を依頼すると転倒や事故につながるおそれがあります。

照明交換や設備修理などで危険を伴う作業については、管理員に無理に依頼するのではなく、管理会社を通じて専門業者に対応を依頼することが望ましいでしょう。

防犯・警備業務も管理員の業務とは限らない

不審者への注意や、チラシ配布者への対応についても、管理員の業務と誤解されることがあります。

もちろん、管理員が不審な状況を確認した場合に、管理会社や警察へ連絡することはあります。また、契約内容によっては、警察や消防への通報業務が管理員業務に含まれていることもあります。

しかし、管理員は警備員ではありません。

不審者を直接取り押さえたり、チラシ配布者と強く対峙したりすることは、管理員の本来業務ではなく、危険を伴う場合もあります。

防犯意識の高いマンションでは、管理員とは別に警備員を配置しているケースもあります。防犯や警備を強化したい場合は、管理員に過度な対応を求めるのではなく、警備会社の活用や防犯カメラの増設、オートロック運用の見直しなど、管理組合として適切な対策を検討することが大切です。

管理員の業務範囲を正しく理解することが大切

管理員は、マンションの日常管理を支える大切な存在です。

受付、清掃、ゴミ搬出、巡回、点検、掲示、報告など、日々さまざまな業務を行っています。

しかし、管理員は何でも対応してくれる便利屋ではありません。

管理委託契約書に定められた業務範囲を超える作業や、危険を伴う作業、専門性が必要な作業、居住者自身が行うべき作業まで管理員に求めてしまうと、管理員への過度な負担となり、結果としてマンション全体の管理品質にも悪影響を及ぼすおそれがあります。

特に管理組合の理事は、管理員の業務範囲内の作業と、業務範囲外の作業を正しく把握しておくことが重要です。

居住者から管理員に対して過度な要求があった場合には、理事会として適切に説明し、必要に応じて管理会社とも連携しながら対応していくことが求められます。

まとめ

最後に、本記事のポイントを整理します。

管理員の業務範囲

管理員の業務範囲は、原則として、管理組合と管理会社、または管理員派遣会社などとの契約書に記載された内容です。

主な業務としては、受付、巡回、清掃、ゴミ搬出、点検、掲示、報告などがあります。

管理員の業務範囲外となりやすいこと

  • ゴミの分別作業
  • 粗大ゴミやリサイクル対象品の解体、処分
  • 高所や危険箇所の清掃、照明交換
  • 専門的な修理、設備対応
  • 不審者やチラシ配布者への直接的な対応
  • 警備業務に該当する対応

管理員の業務範囲を正しく理解することは、管理員を守るだけでなく、管理組合と管理会社、居住者との良好な関係づくりにもつながります。

管理組合としては、管理員に過度な負担をかけるのではなく、契約内容に基づいた適切な役割分担を意識しながら、マンション全体の管理改善に取り組んでいくことが大切です。

本記事も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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