理事会は毎月開催するのが当たり前?

マンション管理組合の運営では、理事会を毎月1回開催しているところも少なくありません。

特に、管理組合活動に積極的なマンションほど、毎月理事会を開催し、さまざまな課題について話し合っている傾向があります。

マンションでは、設備の不具合、居住者からの苦情、修繕工事、管理会社との調整など、日々さまざまな問題が発生します。

そのため、積極的に管理組合運営に取り組んでいると、月1回の理事会でも議題を処理しきれないことがあります。

一方で、特に議論する事項がなくても、毎月決まった日に理事会を開催し、管理会社からの報告を受けるだけで終わってしまう管理組合もあるのではないでしょうか。

ここで、一つの疑問が生まれます。

「理事会を頻繁に開催することが、本当に管理の質の向上につながるのでしょうか?」

今回は、この当たり前のように考えられている理事会の開催頻度について、少し違った角度から考えてみたいと思います。

理事会の開催回数と管理の質は比例しない

私は、理事会の開催回数と管理の質は、必ずしも比例するものではないと考えています。

例えば、毎月理事会を開催していても、議題が形式的な報告事項ばかりで、重要な課題の検討や改善が進んでいなければ、管理の質が高いとはいえません。

逆に、理事会の開催回数が少なくても、管理会社との連携が取れており、必要な意思決定が適切に行われ、日常的な管理業務が円滑に進んでいれば、良好な管理組合運営は十分に可能だと思います。

もちろん、重要な課題が山積しているマンションでは、毎月、あるいはそれ以上の頻度で理事会を開催する必要があるかもしれません。

問題なのは、開催回数の多い少ないではなく、理事会が実際にどのような役割を果たし、どのような成果を生み出しているのかということです。

理事会を開催すること自体が目的になってしまっては、本末転倒ではないでしょうか。

日常的な申請まで理事会で決議する必要がある?

理事会の開催頻度を考えるうえで、もう一つ見逃せない問題があります。

それは、理事会で決議しなければならない事項が多いことです。

例えば、ペットの飼育申請や専有部分のリフォーム工事申請などが挙げられます。

マンションによっては、こうした日常的な申請についても、理事会の決議を経て理事長が承認する仕組みになっています。

しかし、月1回しか理事会を開催していなければ、申請のタイミングによっては、承認まで1か月近く待たなければならないことになります。

リフォーム工事であれば、工事業者との日程調整や引っ越しの予定などにも影響しかねません。

もちろん、工事内容によっては共用部分への影響などを慎重に確認する必要があり、理事会での審議が重要となる場合もあります。

しかし、あらかじめ定められた基準を満たしているかどうかを確認するだけの定型的な申請まで、毎回理事会決議を必要とすることが、本当に合理的なのでしょうか。

私は、こうした承認手続きについても、見直す余地があると考えています。

例えば、管理規約や使用細則などを適切に整備したうえで、一定の条件を満たす申請は理事長が承認し、次回理事会で報告する仕組みも考えられます。

一方、判断が難しい案件や例外的な案件については、従来どおり理事会で審議すればよいのです。

すべてを理事会で決めることが、必ずしも適切な管理組合運営につながるわけではありません。

理事会がなくても運営できる管理者方式

ここで、もう一つ考えてみたいことがあります。

近年、役員の担い手不足などを背景に、従来の理事会方式を見直し、外部の専門家や管理会社などが管理者を務める「管理者方式」を検討する管理組合もあります。

管理者方式にはさまざまな形態がありますが、理事会を設置せず、管理者が業務を執行する仕組みもあります。

この場合、従来の理事会方式では理事会決議が必要だった事項の多くを、管理規約等で定められた権限の範囲内で、管理者が判断できるようにすることも可能です。

つまり、理事会を開催しなくても、管理組合の業務を進めることができるわけです。

もちろん、管理者に権限が集中することで、独断的な運営や利益相反などのリスクが生じる可能性もあります。

そのため、管理者の権限を明確にし、監事による監査や組合員への情報公開など、適切なチェック体制を整えることが重要です。

また、総会で決議すべき事項まで管理者が自由に決められるわけではありません。

それでも、理事会を設置しない運営方法が選択肢として存在することは、従来の理事会方式を考えるうえでも参考になるのではないでしょうか。

「理事会がなければ、管理組合の運営は成り立たない」

そんな固定観念についても、一度考え直してみる価値があると思います。

理事会を減らすことが目的ではない

ここまで理事会の開催頻度について考えてきましたが、私は、すべての管理組合に対して理事会の開催回数を減らすべきだと主張したいわけではありません。

月1回の理事会が必要な管理組合もあれば、年に数回の開催でも十分に運営できる管理組合もあるでしょう。

また、管理組合の状況は常に変化します。

大規模修繕工事や管理会社の変更など、重要な課題に取り組む時期には、理事会の開催回数を増やす必要があるかもしれません。

一方、特に大きな課題がない時期には、開催回数を減らすことも考えられます。

大切なのは、毎月開催することを前提にするのではなく、管理組合の実情に応じて柔軟に運営することです。

そして、開催回数を見直すのであれば、同時に理事会で決議する事項や、理事長・管理会社との役割分担についても検討する必要があります。

単に理事会の回数を減らしただけでは、意思決定が遅れ、かえって管理組合の運営に支障が生じる可能性もあるからです。

これからの理事会に求められるもの

近年、マンション管理組合では、役員の担い手不足や高齢化などが大きな課題となっています。

そうした状況のなかで、従来どおり毎月理事会を開催し、多くの案件を役員全員で審議する運営方法を、今後も続けていくことができるのでしょうか。

もちろん、理事会には複数の役員が意見を出し合い、重要な事項について慎重に判断するという大切な役割があります。

その役割まで否定する必要はありません。

しかし、日常的な業務や定型的な判断まで理事会に集中させてしまうと、役員の負担が増えるだけでなく、本来時間をかけて審議すべき重要な課題への対応がおろそかになる可能性もあります。

これからは、理事会が何でも決める運営から、理事会が本当に決めるべきことに集中する運営へと発想を転換することも必要ではないでしょうか。

理事会の開催回数を減らすこと自体が改革なのではありません。

理事会の開催回数に左右されず、管理組合の業務が適切かつ円滑に進む仕組みを整えることこそが、本当の改革なのだと思います。

皆さんのマンションでは、理事会を何回開催しているでしょうか。

そして、その開催回数は本当に必要なものなのでしょうか。

一度、考えてみてはいかがでしょうか。

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