投資用でも居住用でも区分所有マンション(分譲マンション)を購入すると、強制的、自動的に区分所有者は管理組合の一員になります。
そして、マンション全体の管理を建物管理会社に委託する管理組合においては、管理組合と建物管理会社とは大切な関係になっていきます。
特に理事など管理組合の役員になると、より一層深い関係になっていきます。
本記事を読むことでマンションの管理組合からマンション全体の管理を委託する建物管理会社との付き合い方について学び、適切なマンション管理を維持していくことができます。
マンションの管理会社は大きく2種類に分類される
マンションの管理会社は、一般的に大きく2種類に分類されます。
1つ目の管理会社は、マンションの部屋を貸し出しする際に貸主と契約をして入居者の募集から家賃の送金、入居者や部屋のトラブルなどを対応する「賃貸管理会社」です。
そして2つ目は、マンションの建物やエレベーターなどの共用設備などの点検、修繕から日常清掃、定期清掃などの業務をマンションの管理組合から委託されて実施、管理する「建物管理会社」と呼ばれる管理会社です。
どちらもマンション管理にはなくてはならない管理会社ですが、賃貸管理会社はマンションを賃貸する貸主であるオーナーにとっては大切な管理会社ですが、自身が居住するマンションを購入する時には直接関係のない管理会社ではあります。
対して2つ目の建物管理会社はマンションを賃貸して居住している人、所有して居住している人、部屋を貸している外部の区分所有者(貸主)の3者にとって重要なな管理会社となります。
また、マンションを購入して住んでいる居住者及び外部の区分所有者にとっては、強制的に管理組合の一員となるため建物管理会社との直接的なやりとりも多く、特に管理組合の理事などの役員に就任すると定期的にやりとりが発生していくことになるでしょう。
それだけに建物管理会社との関係は非常に重要となっていき、建物管理会社しだいでマンション全体の健全な管理が維持できるかどうかが左右されていくと言っても過言ではありません。
マンション建物管理会社の役割
マンションの建物管理会社は管理組合との管理委託契約によって契約された範囲の業務を実施していきます。
一般的に委託される主な業務は、管理組合運営や出納会計などの事務管理業務、管理員による日常清掃・点検業務、日常清掃以外の定期清掃業務、消防設備点検やエレベーター点検などの設備保守点検業務などです。
建物管理会社はマンションの管理にあたり重要な役割を担っているのですが、実際にはこれら以外にも居住者や理事、近隣住民などからのお願いやクレーム処理なども行い、建物管理会社の担当者(フロント)は管理を委託されたマンションの対応に日々汗を流しています。
建物管理会社とおすすめする付き合い方
マンション全体の適切な管理を維持していくためには建物管理会社と良好な関係を築くことは大切なことです。
しかし、建物管理会社と良好な関係が築けておらず、適切な管理ができていないマンションは非常に多いように感じます。
その要因として3つあげてみます。
① 理事など役員の担い手がおらず1~2年毎の輪番制で仕方なく理事となっている
② 管理組合の総会にも全く意思を表明しない無関心な組合員が多い
③ 外部に居住する組合員が多く、全て他人任せとなっている
上記の3つの要因に共通することは、マンションの管理を適切に実施してもらいたいとは思っていながらも、自身が積極的に関わらなくてもどうにかなるだろう、誰かがどうにかしてくれるだろうと思っていることです。
この誰かがというものに管理組合から委託している建物管理会社は大きな割合を占めています。
確かにマンションの建物管理は専門性が高く、専門的な知識がなければ、何が正しくて何が悪いのかも良くわからないでしょう。
専門知識も経験もない一般の組合員たちでは委託している建物管理会社に依存してしまう気持ちも良くわかります。
しかし、何でも建物管理会社に任せてしまう、言いなりになってしまうということはそのマンションにとって不利益につながることも多くなっていきます。
このような状態では、決して管理組合と建物管理会社が良い関係を築いている状態とは言えません。
理事以外の組合員だけでなく、理事の中にもマンション内で何か問題などが発生すると委託費用を支払っているという理由で契約範囲外の事項であっても自分たちでは何もせずに建物管理会社の担当者へ対応するように圧力をかけて指示するような人もいます。
そもそもマンションの管理は管理組合が主体となって管理活動に取り組むこととされており、建物管理会社などはそれを補助する立場と位置づけられています。
建物管理会社には契約で委託された範囲の業務は適切に履行してもらうこととは当然ですが、範囲外について問題が発生した時には管理組合の理事会などが中心となって取り組む姿勢を見せて、建物管理会社の担当者とは相談のうえ、助言を受けながら連携して問題に取り組むことが望ましいでしょう。
また、反対に何でも建物管理会社の言いなりなってしまうことも避けなければいけません。
建物管理会社は管理組合と管理委託契約を締結し、毎月管理組合から委託費用を得て事業として業務を行っています。
それゆえに建物管理会社の中には、必要のない建物や設備の補修、修繕、交換作業などを頻繁に実施する提案を行い、実施にあたり多くの手数料をのせていたり、管理委託費用の値上げを打診するようなことも度々見受けられます。
全てが不要で悪いということではありませんが、中には委託された範囲の業務も適切に履行しないにも関わらず、このような提案をして要求してくるような悪質とも思われる建物管理会社も存在することも度々耳にします。
私も実際に理事をしているマンションで委託された範囲の業務も適切に履行せず、建物管理会社がマンションのルール(管理規約)違反を自ら推奨して、知識のない理事たちに実行させていたような悪質と思われても仕方がない建物管理会社がありました。
もちろん私はそのマンションの理事に就任して他の理事たちと一致団結して新しい他の建物管理会社に変更しました。
建物管理会社の暴走を防ぐためにも、建物管理会社から提案されたことに対して全て言いなりにするのではなく、理事会でしっかり協議して管理組合の総会で決議できている状態が管理組合としては理想的な状態であり、管理組合と建物管理会社の良い関係を築くための一歩と言えるでしょう。
ここまで何でも建物管理会社任せにしない。何でも建物管理会社の言いなりにならいないという2点が管理組合と建物管理会社との良い関係を築くことだという事を述べてきました。
しかし、マンション管理の専門的知識を持った理事などがいれば的確な判断をして対応することも可能となりますが、現実には全く専門的知識や理事経験がない理事たちだけで構成された理事会ではそのような対応をすることは非常に難しいはずです。
そこで、そのような管理組合におすすめすることをお伝えします。
それは、建物管理会社とは異なる第三者のマンション管理士などの専門的知識を持った専門家を活用することです。
国土交通省が作成したマンションの標準ルールのを定めた雛形である標準管理規約にも管理組合の管理費を使用して専門的知識を有する者を活用することが盛り込まれています。
このことは建物管理会社の担当者は知っていても、理事たちに教えてくれる、または提案してくれることは残念ながら現時点ではほとんどないでしょう。
特に悪質な建物管理会社にとって、第三者のマンション管理士などの専門家はこれまでの業務を見直され、見直さない場合には建物管理会社の変更までも検討されてしまうことが大いに考えられ、脅威でしかありません。
そのような悪質な建物管理会社ではマンション管理士などの外部の専門家居の活用を管理組合が検討しているようなことを知ると、阻止する助言や行動を取ってくるかもしれません。
それだけ管理組合にとって建物管理会社をは異なるマンション管理士などの外部専門家を活用することは有益である管理組合も多いはずです。
また、悪質ではない健全な管理組合であったとしても、定期的にマンション管理士などの外部専門家を活用することは適切な管理が実施されているかのチェックや改善点が洗い出される可能性もあり有益であることも多いと考えます。
但し、逆に管理組合側が必要以上に建物管理会社に依存して何でも求めるような管理組合では、外部のマンション管理士などの助言によりそれを是正するように管理組合側に対して諭されることも考えられるでしょう。
そのような建物管理会社にとっては外部のマンション管理士などの助言がありがたく感じる可能性も十分考えられます。
建物管理会社とは異なるマンション管理士などの専門家を活用して管理組合と建物管理会社の関係を築いていく。
これがマンション建物管理会社とおすすめする付き合い方です。
まとめ
本記事のおさらいをします。
マンションの管理会社は部屋を賃貸する際に貸主と契約をする「賃貸管理会社」と、マンションの建物を管理組合から委託されて管理する「建物管理会社」の2種類に分かれる
建物管理会社の役割は、管理組合運営や出納会計などの事務管理業務、管理員による日常清掃・定期清掃、点検業務、エレベーター点検などの設備保守点検業務などを実施する
建物管理会社とは異なるマンション管理士などの専門的知識を持った外部専門家を活用(委託契約)して管理組合と建物管理会社の良好な関係を築いていく
本日も読んでいただき、どうもありがとうございました。