マンション管理

マンション管理組合の理事になったら知っておきたい仕事5つ

マンションを購入して所有すると、管理組合のあるマンションであればそのマンションに居住していても、いなくても強制的に管理組合の一員となります。

また、積極的に立候補して理事を引き受けるような人達がいないマンションでは、理事は1~2年毎に持ち回りで行う輪番制を採用しているところも多く、所有者の誰もが理事に就任する可能性があります。

そして、自身が理事に就任する時には戸惑ってしまう人も多いことでしょう。

本記事を読むことで、「理事に就任したら何をすればいいの?」「現在のマンションの管理状態が悪いので理事になって改善したい!」と思っているような全くマンション管理の知識や、理事経験も無い人がマンションの理事活動について知ることができます。

マンション管理組合の理事は業務担当と経営企画部などをかけ合わせたような存在


理事という言葉は、マンションの管理組合に限らず色々な組織の中で聞いたことがあると思います。

また、理事という言葉を聞くと、何をする人かは良くわからないとしても、何となく偉い人で何かを決めていく人なのだろうという漠然とした印象はあるのではないでしょうか。

マンション管理組合の理事も毎年1回必ず開催される管理組合の総会で選任されて役員として就任することとなります。

その役員の中で理事と監事との役職に分かれ、理事の種類としては、理事長、副理事長、会計担当理事、理事などがあります。

理事は理事会を作って、管理組合総会で決まったことに従って管理組合の業務を担当していくことや、事業計画案など立案して管理組合総会へ議案をあげていく業務担当部署と経営企画部などをかけ合わせたような存在です。

そして、理事の中の理事長は管理者となり、管理組合を代表して業務を統括し、管理規約で定められた事項について業務を遂行していきます。

因みに理事ではない監事は、管理組合の業務や財産の状況及び理事に不正行為などがないかを監査することが主な役割で、理事会に出席して意見を述べることはできますが、理事会での決め事の賛成、反対の決議などに加わることは基本的にできません。

このように理事は管理組合の業務担当部署として重要な役割を担っており、理事活動によってそのマンションの管理状態が決まっていくと言って過言ではないでしょう。

建物管理会社に何でも強引に対応させてはいけない


管理組合はお金を支払ってマンションの建物及び設備の保守、点検から日常管理までを建物管理会社委託しています。

そのため、マンションの管理組合員や理事などがお金を支払っているのだからという理由で、契約範囲外のことでも問題が発生すると24時間365日管理会社の担当者に電話して指示して強引にやらせたり、もし従わないとクレームや罵声を浴びせるようなモンスター組合員やモンスター理事なども存在します。

委託する建物管理会社はあくまでも管理組合の補助的な役割を担い、委託契約で契約された内容に従って業務をしてもらう存在であるということをくれぐれも間違えないでください。

何でも事あるごとに強引に建物管理会社に対応させようとするようなマンションでは、建物管理会社も採算が合わないと判断し、そのマンションとは管理の委託契約を更新しなかったり、途中解約するというようなこともできるので、そのようなマンションからは撤退する建物管理会社が実際に多くなってきています。

今後、日本国内において特に首都圏では多くのマンションの老朽化が進んでいき、今まで以上に建物管理が非常に重要になっていくことは間違いありません。

そのため管理組合ではいかに素晴らしい建物管理会社へ管理を委託していけるかが大切となり、そのようなマンション管理会社へ管理を委託することの争奪戦になるかもしれません。

あくまで管理組合と建物管理会社の関係は委託契約で契約された関係です。

契約された内容をしっかりと履行していないことに対してクレームをあげることはしなければいけませんが、契約範囲外の事項に関しては、建物管理会社と協議して必要であれば管理組合より別途費用を支払って対応してもらうべきものです。

建物管理会社へ強引に何でも対応させてはいけません。くれぐれも覚えておいてください。

何でも管理会社の言う通りにはしない

管理組合がマンションの管理を建物管理会社へ委託する理由は、建物管理会社はマンション管理の専門的な知識を持った組織であり、自身のマンションを適正に管理、維持してくれるという安全、安心感があるからです。

しかし、建物管理会社は管理組合の理事などのボランティア要素の高い活動とは違い、管理組合より委託費用をもらって事業としてマンション管理を行っています。(管理組合によっては、理事などに役員報酬をだしているところもあります)

そのため建物管理会社は採算が合わないマンションからの管理委託は受けませんし、できることなら管理組合からできるだけ多くの委託費用をもらって利益を確保していきたいと思っています。

このことは、建物管理会社も一般企業であり、事業継続していかなければならないので企業としては当然のことです。

前項では、「建物管理会社へ強引に何でも対応させてはいけない」ということを述べましたが、それとは逆に「何でも建物管理会社のいう通りにはしない」ということも非常に重要なことだと肝に銘じてください。

2022年3月末時点でのマンション管理業の登録業者数は国土交通省より1,934社あると公表されています。

そして、残念ながらその中には委託費用が高額でありながら専門的な知識も不足していて、いい加減なことを言ったり、管理規約を逸脱するようなことまで推奨してくるような悪質とも呼べる建物管理会社も存在します。

私も実際に副理事長に就任したばかりのマンションにおいて、管理を委託していた建物管理会社がそのようなずさんな管理会社であることがわかり、理事達と協議してその建物管理会社との委託契約を解約しました。

その結果、新しい建物管理会社へ委託することにより管理の品質も向上して委託費用も大幅に削減することができて1年で100万円以上、大規模修繕を想定する15年間で試算すると2,000万円以上もの委託費用を削減することが実現。将来的には余儀なくされるであろう修繕積立金の値上げを低減することができたのです。

悪質とまでは言えませんが、委託費用については利益を確保するために他のマンションと比較すると高額な委託費用をとっている建物管理会社も多く見受けられます。

総額の委託費用ではわからなくても、委託費用の内訳をよく見てみるとある項目の費用だけ高額だったり、年間の設備などの修繕計画にまだ必要でないのでは?と思われるようなメーカーが推奨しているという理由だけで設備交換を実施するような提案をしてくるというようなことも良くあることです。

本当に設備交換を実施する必要があったとしても、その妥当性を確認する。理事自身から他社の相見積書を取得するなどして、理事会側でしっかりと検証して決めていくことが大切です。

何でも建物管理会社の言う通りにはしない。これも覚えておいてください。

建物管理会社とは関係のない第三者の専門家を活用する


前項では、何でも建物管理会社のいう通りにはせず、理事会側でしっかりと検証して決めていくことが大切とお伝えしました。

しかし、理事メンバーの中にマンション管理の知識に精通している人がいない限り、何が間違っているのか?これは適正なのか?を見極め、判断していくことは難しいことも事実です。

そのような管理組合では委託している建物管理会社とは関係の無い第三者のマンション管理の専門知識と経験を持った専門家を活用することが大切です。

私はそのような第三者のマンション管理の専門家としての活動をしています。

国土交通省がマンションの標準ルールを作成した標準管理規約という雛形にも管理組合の管理費を使用して専門的知識を有する者を活用すること。と推奨しています。

残念なことに管理を委託している建物管理会社の担当者はこのことを知っていながらも教えてくれる、提案してくれるということは少ないでしょう。

特に悪質と呼べる建物管理会社にとって第三者のマンション管理の専門知識を持った人はこれまでの業務を見直され、管理会社の変更をされてしまうことが大いに考えられるため脅威でしかありません。

一方、管理組合側にとっては管理費から相談(コンサル)費用を支払ってでも、この第三者の専門家を活用することにより管理の改善や、年間数百万円(マンションの規模によっては数千万円)という管理費などのコスト削減を実現する可能性は十分に考えられることで有益なことです。

但し、マンション管理士などマンション管理の資格としては最高峰の資格を所有している第三者の専門家でも、資格試験に合格するためだけの知識は持っていても、現実の問題には対応する能力は持ち合わせていない人などもいるので注意が必要です。

大切なことは、マンション管理士などの資格よりも、現実のマンション管理の問題をしっかりと把握し、それを改善する提案力があり、これまでどれだけ多くの問題に向き合い対応してきた実績があるかなどを調べて、信頼のできる第三者の専門家に相談して行きましょう。

また、理事たち役員の前ではもっともらしいことを言い、良い改善提案をするものの、改善実施の際には自らは動かず、建物管理会社へ丸投げしてしまうようなマンション管理士なども存在すると聞いたことがあります。

そのような口先だけのマンション管理士では、建物管理会社の担当者が疲弊してしまうだけです。くれぐれもこのような第三者の専門家にも注意が必要です。

マンション管理の専門的知識を持っている理事がいない管理組合では、委託している建物管理会社とは関係のない信頼できる第三者の専門家を見つけて活用していく。それが、健全で適正なマンション管理を実現していくためにはポイントになります。すぐにでも実践していくことをお勧めします。

管理組合が主体となってマンションの資産価値の維持・向上をはかっていく


管理組合の理事に就任したら知っておきたい最後の5つ目は、管理組合員、理事として念頭に置いておかなければならないマンション管理における大前提を知り、理解することです。

これまで建物管理会社への委託やマンション管理士などの第三者の専門家の活用について話をしてきましたが、マンション管理の大前提として主体的に管理していくのは管理組合員自身だと言うことです。

どんなに素晴らしい建物管理会社に委託し、第三者の専門家を活用したとしても管理組合や理事会が何の意思もなく機能せず、他人任せにしているようなマンションでは健全で適正なマンション管理を実現することは不可能です。

自分達が所有するマンションです。他人任せにせず、自分ごととしてしっかりと捉えて、積極的に理事に立候補する。総会やイベント開催の際には参加して活動するなど主体的に取り組み、建物管理会社や第三者の専門家と連携しながら皆で快適なマンションライフをつくっていきましょう。

まとめ


本記事のおさらいをします。

理事は業務担当と経営企画部などをかけ合わせたような存在

・理事は理事会をつくって、管理組合総会で決まったことに従って管理組合の業務を担当していくことや、事業計画案など立案して管理組合総会へ議案をあげていく業務担当部署と経営企画部などをかけ合わせたような存在です。理事活動によってそのマンションの管理状態が決まっていく

強引に対応させてはいけない

・委託する建物管理会社はあくまでも管理組合の補助的な役割を担う存在。契約範囲外の事項に関しては、建物管理会社と協議して必要であれば管理組合より別途費用を支払って対応してもらう

何でも言う通りにはしない

・マンション建物管理会社は、委託費用をもらって事業として管理を行っており利益確保は必然。
・建物管理会社の中には委託費用が高額で専門知識もない悪質な管理会社も存在する。管理組合、理事会側でしっかりと検証して建物管理会社を決めていくことが重要

第三者の専門家を活用する

・マンション管理の専門的な知識を持っている理事がいない管理組合では、委託している管理会社とは関係のない信頼できるマンション管理士などの第三者の専門家を見つけて活用していくことが健全で適正なマンション管理の実現につながる

管理組合が主体となって笑顔をつくる

・建物管理会社任せにせず、所有するマンションは自分ごととしてしっかりと捉えて、管理組合員や理事が主体的に管理活動に取り組み、建物管理会社や第三者の専門家と連携しながら皆で快適なマンションライフをつくっていく

本日も読んでいただき、どうもありがとうございました。

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