約20年ぶりとなる大幅な区分所有法改正が、2025年5月に公布され、2026年4月1日に施行されます。

今回の改正では、区分所有者に新たな義務や管理上のルールが加わりました。

本コラムでは、「第一章 第九節 義務違反者に対する措置」の改正条文を全文掲載し、その内容と管理運営への影響を解説します。

使用禁止の請求

改正条文:第五十八条2項

第五十八条2項
前項の決議は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)
の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数
でする。

📝解説
改正前は「総区分所有者数および総議決権数の4分の3以上の賛成」が必要であり、決議のハードルは非常に高いものでした。

改正後も4分の3という決議要件自体は維持されていますが、新たに「出席要件(過半数)」が追加されたことで、委任状や書面議決も含めた出席者ベースで4分の3の賛成を得れば足りることとなり、従前よりも決議が行いやすい制度となりました。

さらに今回の改正により、第五十九条の「区分所有権の競売の請求」および第六十条の「占有者に対する引渡し請求」についても、使用禁止請求と同様に「出席要件(過半数)」を前提とし、出席者の4分の3以上の賛成によって決議できるよう統一されています。

次回のコラムでは、「第一章 第十節 復旧及び建替え等」の改正内容をご紹介していきます。
条文の正確な理解は、健全な管理運営の第一歩です。

本記事該当の区分所有法(2026年改正版)現行・改正比較表(PDF)
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