約20年ぶりとなる大幅な区分所有法改正が、2025年5月に公布され、2026年4月1日に施行されます。
今回の改正では、区分所有者に新たな義務や管理上のルールが加わりました。
本コラムでは、「第一章 第八節 管理組合法人」の改正条文を全文掲載し、その内容と管理運営への影響を解説します。
成立等
改正条文:第四十七条1項・6項・9項・12項
第四十七条1項
第三条に規定する団体は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数による決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
📝解説
管理組合法人の成立決議要件に、議決権を有しない者を除外し、出席要件が追加されました。
第四十七条6項
管理組合法人は、その事務(保険金等の請求及び受領を含む。第八項において同じ。)に関し、区分所有者(保険金等の請求及び受領にあつては、保険金等の請求権を有する者。同項において同じ。)を代理する。
📝解説
管理組合法人の代理権の範囲に「保険金等」が明記され、その請求・受領に関する代理の対象が明確化されました。
第四十七条9項
管理組合法人は、次の各号に掲げるときは、遅滞なく、それぞれ当該各号に定める者にその旨を通知しなければならない。この場合における区分所有者に対する通知については、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。
一 前項の規約によりその事務に関し原告又は被告となつたとき 区分所有者
二 前項の規約により保険金等の請求及び受領に関し原告又は被告となつたとき 保険金等の請求権を有する者
三 前項の集会の決議により保険金等の請求及び受領に関し原告又は被告となつたとき 保険金等の請求権を有する者(区分所有者を除く。)
📝解説
法人が訴訟当事者となった場合(原告・被告のいずれでも)、その旨を関係者に通知する義務が明確に定められました。
特に、保険金請求や受領に関して訴訟が生じた場合には、区分所有者以外の「保険金請求権を有する者」にも通知が必要です。
これは、保険金をめぐるトラブルの透明性を高めるための改正で、法人の説明責任がより強化された形です。
第四十七条12項
管理組合法人が存立する場合における第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)、第三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第三十五条第三項、第三十八条の二第一項及び第三項、第四十一条並びに第四十三条の規定の適用については、これらの規定(第三十三条第一項本文及び第三十八条の二第一項を除く。)中「管理者」とあるのは「理事」と、第三十三条第一項本文中「管理者が」とあるのは「理事が管理組合法人の事務所において」と、第三十八条の二第一項中「管理者」とあるのは「管理組合法人」とする。
📝解説
この改正では、「所在等不明区分所有者の除外」(第38条の2)など、新設条項との整合性をとるために、管理組合法人に関する準用関係が明確化されました。
つまり、管理組合法人が存在する場合には、「管理者」ではなく「理事」や「法人」が同様の役割を果たすことが明確にされています。
法人の法的位置づけを整理することで、訴訟・登記・総会手続きなどの運用がよりスムーズになります。
区分所有権等の取得
新設条文:第五十二条の二 1項・2項
第五十二条の二 1項・2項
管理組合法人は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うために必要な場合には、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数による決議をすることによつて、当該建物の区分所有権又は当該建物及び当該建物が所在する土地と一体として管理若しくは使用をすべき土地を取得することができる。
2 管理組合法人は、前項の規定により区分所有権を取得した場合であつても、第三十八条の規定にかかわらず、当該管理組合法人の集会における議決権を有しない。
📝解説
この条文は、改正の中でも特に重要な新設制度です。
管理組合法人が「マンション管理のために必要な場合」に限り、区分所有権や敷地利用権を取得できるようになりました。
ただし、法人が取得した区分所有権については議決権を持たないことが定められており、議決権の偏りを防ぐ設計になっています。
解散
改正条文:第五十五条 2項
第五十五条 2項
前項第三号の決議は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数でする。
📝解説
解散決議についても、成立要件と同様に出席要件が新たに導入されました。
また、「議決権を有しない者」を除外する規定が設けられ、法人設立・解散の手続き要件が統一されています。
この改正により、法人化・解散いずれの場合も、現実に出席した多数の意思に基づいて決定されることが保証されます。
次回のコラムでは、「第一章 第九節 義務違反者に対する措置」の改正内容をご紹介していきます。
条文の正確な理解は、健全な管理運営の第一歩です。
本記事該当の区分所有法(2026年改正版)現行・改正比較表(PDF)
👉こちらからダウンロード
e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
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