区分所有法

区分所有法(管理組合法人の解散による清算等)

分譲マンションでは、一棟のマンションの住戸(部屋)を区分けして販売します。

このように住戸を区分して所有する際の、各区分所有者の権利やマンション全体の管理方法などを定めた法律を区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)と呼びます。

この記事では、区分所有法における「管理組合法人の解散による清算等」について知ることができます。

目次

解散(第55条)

解散の事由(第55条1項)

区分所有法第55条1項では「管理組合法⼈は、次の事由によつて解散する。」と定められています。

区分所有法第55条1項一~三

一 建物(⼀部共⽤部分を共⽤すべき区分所有者で構成する管理組合法⼈にあつては、その共⽤部分)の全部の滅失

二 建物に専有部分がなくなつたこと。

三 集会の決議

「建物に専有部分がなくなつたこと。」というのは、たとえば、誰か一人が専有部分を全てを買い上げ上で、その専有部分の「合併の登記」をした時などがあげられます。

集会の決議による解散要件(第55条2項)

区分所有法第55条2項では「前項第三号の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。」と定められています。

清算中の管理組合法⼈の能⼒(第55条の二)

区分所有法第55条の二では「解散した管理組合法⼈は、清算の⽬的の範囲内において、その清算の結了に⾄るまではなお存続するものとみなす。」と定められています。

「結了」とは、「すっかり終わること」、「終結」、「終了」などを意味します。

清算⼈(第55条の三)

区分所有法第55条の三では「管理組合法⼈が解散したときは、破産⼿続開始の決定による解散の場合を除き、理事がその清算⼈となる。ただし、規約に別段の定めがあるとき、⼜は集会において理事以外の者を選任したときは、この限りでない。」と定められています。

「清算人」とは「法人が解散して清算をする場合に、その清算事務を担当する者」のことです。

裁判所による清算⼈の選任(第55条の四)

区分所有法第55条の四では「前条の規定により清算⼈となる者がないとき、⼜は清算⼈が⽋けたため損害を⽣ずるおそれがあるときは、裁判所は、利害関係⼈若しくは検察官の請求により⼜は職権で、清算⼈を選任することができる。」と定められています。

清算⼈の解任(第55条の五)

区分所有法第55条の五では「重要な事由があるときは、裁判所は、利害関係⼈若しくは検察官の請求により⼜は職権で、清算⼈を解任することができる。」と定められています。

清算⼈の職務及び権限(第55条の六)

清算人の職務(第55条の六1項)

区分所有法第55条の六1項では「清算⼈の職務は、次のとおりとする。」と定められています。

区分所有法第55条の六1項一~三

一 現務の結了

二 債権の取⽴て及び債務の弁済

三 残余財産の引渡し

清算人の権限(第55条の六2項)

区分所有法第55条の六2項では「清算⼈は、前項各号に掲げる職務を⾏うために必要な⼀切の⾏為をすることができる。」と定められています。

債権の申出の催告等(第55条の七)

清算人による催告(第55条の七1項)

区分所有法第55条の七1項では「清算⼈は、その就職の⽇から⼆⽉以内に、少なくとも三回の公告をもつて、債権者に対し、⼀定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、⼆⽉を下ることができない。」と定められています。

債権者の除斥(第55条の七2項)

区分所有法第55条の七2項では「前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算⼈は、知れている債権者を除斥することができない。」と定められています。

除斥(じょせき)とは「法人などの清算の場合に、期間内に届け出・申し出をしない債権者を弁済・配当から除外」することです。

債権者への各別の催告(第55条の七3項)

区分所有法第55条の七3項では「清算⼈は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。」と定められています。

各別とは「それぞれが別であること。一つ一つに違いがあること」などを意味します。

官報への掲載(第55条の七4項)

区分所有法第55条の七4項では「第⼀項の公告は、官報に掲載してする。」と定められています。

官報とは、「官公庁・官公吏が打つ公用の電報」のことで、法律、政令、条約等の公布をはじめとして、国や特殊法人等の諸報告や資料を公表する「国の公報紙」「国民の公告紙」としての使命を持ちます。
現在では、インターネット版の官報もあります。

期間経過後の債権の申出(第55条の八)

区分所有法第55条の八では「前条第⼀項の期間の経過後に申出をした債権者は、管理組合法⼈の債務が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。」と定められています。

清算中の管理組合法⼈についての破産⼿続の開始(第55条の九)

破産手続きの申立て(第55条の九1項)

区分所有法第55条の九1項では「清算中に管理組合法⼈の財産がその債務を完済するのに⾜りないことが明らかになつたときは、清算⼈は、直ちに破産⼿続開始の申⽴てをし、その旨を公告しなければならない。」と定められています。

破産管財人への引継ぎ(第55条の九2項)

区分所有法第55条の九2項では「清算⼈は、清算中の管理組合法⼈が破産⼿続開始の決定を受けた場合において、破産管財⼈にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。」と定められています。

破産手続開始の決定を受けた場合に破産管財人にその事務を引き継いだときに任務が終了するであって、申立てだけでは終了しません。

破産管財人とは、破産法の破産手続において、破産財団に属する財産の管理及び処分をする権利を有する者のことを指します。

破産管財⼈の権限(第55条の九3項)

区分所有法第55条の九3項では「前項に規定する場合において、清算中の管理組合法⼈が既に債権者に⽀払い、⼜は権利の帰属すべき者に引き渡したものがあるときは、破産管財⼈は、これを取り戻すことができる。」と定められています。

官報への掲載(第55条の九4項)

区分所有法第55条の九3項では「第⼀項の規定による公告は、官報に掲載してする。」と定められています。

残余財産の帰属(第56条)

区分所有法第56条では「解散した管理組合法⼈の財産は、規約に別段の定めがある場合を除いて、第⼗四条に定める割合と同⼀の割合で各区分所有者に帰属する。」と定められています。

集会の決議による管理組合法人の解散では、法人ではない管理組合になるだけなので、原則として残余財産は「区分所有全員の総有」となり、各区分所有に分割帰属はしません。

区分所有法第14条(共⽤部分の持分の割合)

(区分所有法第14条1項)
各共有者の持分は、その有する専有部分の床⾯積の割合による。

(区分所有法第14条2項)
前項の場合において、⼀部共⽤部分(附属の建物であるものを除く。)で床⾯積を有するものがあるときは、その⼀部共⽤部分の床⾯積は、これを共⽤すべき各区分所有者の専有部分の床⾯積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床⾯積に算⼊するものとする。

(区分所有法第14条3項)
前⼆項の床⾯積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の⽔平投影⾯積による。

(区分所有法第14条4項)
前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

裁判所による監督(第56条の二)

裁判所の監督(第56条の二1項)

区分所有法第56条の二1項では「管理組合法⼈の解散及び清算は、裁判所の監督に属する。」と定められています。

裁判所の職権(第56条の二2項)

区分所有法第56条の二2項では「裁判所は、職権で、いつでも前項の監督に必要な検査をすることができる。」と定められています。

解散及び清算の監督等に関する事件の管轄(第56条の三)

区分所有法第56条の三では「管理組合法⼈の解散及び清算の監督並びに清算⼈に関する事件は、その主たる事務所の所在地を管轄する地⽅裁判所の管轄に属する。」と定められています。

不服申⽴ての制限(第56条の四)

区分所有法第56条の四では「清算⼈の選任の裁判に対しては、不服を申し⽴てることができない。」と定められています。

裁判所の選任する清算⼈の報酬(第56条の五)

区分所有法第56条の五では「裁判所は、第五⼗五条の四の規定により清算⼈を選任した場合には、管理組合法⼈が当該清算⼈に対して⽀払う報酬の額を定めることができる。この場合においては、裁判所は、当該清算⼈及び監事の陳述を聴かなければならない。」と定められています。

検査役の選任(第56条の七)

裁判所による検査役の選任(第56条の七1項)

区分所有法第56条の七1項では「裁判所は、管理組合法⼈の解散及び清算の監督に必要な調査をさせるため、検査役を選任することができる。」と定められています。

検査役選任時の規定の準用(第56条の七2項)

区分所有法第56条の七2項では「第五⼗六条の四及び第五⼗六条の五の規定は、前項の規定により裁判所が検査役を選任した場合について準⽤する。この場合において、同条中「清算⼈及び監事」とあるのは、「管理組合法⼈及び検査役」と読み替えるものとする。」と定められています。

第五⼗六条の六の規定は現在では削除されています。

まとめ

本記事の管理組合法人の解散による清算手続きについて理解頂けたでしょうか。

管理組合法人化するマンション管理組合も一般的には多くありませんが、一度法人化した管理組合法人を解散するケースはより少ないのではないかと思います。

もしもそのようなことを検討している管理組合法人の関係者の方たちなど本記事の内容をご参照頂き、少しでもお役に立てば幸いです。

本記事も読んでいただきどうもありがとうございました。

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