区分所有法

区分所有法(集会の決議と議決権)

分譲マンションでは、一棟のマンションの住戸(部屋)を区分けして販売します。

このように住戸を区分して所有する際の、各区分所有者の権利やマンション全体の管理方法などを定めた法律を区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)と呼びます。

この記事では、区分所有法における「集会の決議と議決権」について知ることができます。

決議事項の制限(第37条)

決議可能な事項(第37条1項)

区分所有法第37条1項では「集会においては、第三⼗五条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる。」と定められています。

あらかじめ通知していない事項について集会当日に決議されてしまっては、集会に出席しなかった区分所有者に不利益が生じることが考えられます。

決議可能な事項の別段の定め(第37条2項)

区分所有法第37条2項では「前項の規定は、この法律に集会の決議につき特別の定数が定められている事項を除いて、規約で別段の定めをすることを妨げない。」と定められています。

これはあらかじめ規約で「通知しなかった事項についても集会当日に決議できる」と定められるという意味です。

過半数の賛成で決議できる普通決議ではない3/4以上や4/5以上の賛成を必要とする特別決議事項は規約で定めたとしても、あらかじめ通知せずに集会当日に決議することはできません。

また、普通決議事項であったとしても、当日の集会での参加者が過半数に満たない場合は集会当日に過半数の賛成を得ることができませんので決議することはできません。

決議可能な事項の制限の適用外(第37条3項)

区分所有法第37条3項では「前⼆項の規定は、前条の規定による集会には適⽤しない。」と定められています。

前条(第36条)というのは「全員の同意による集会の招集手続きが省略された場合」のことで、その場合には決議事項に制限がなく、全ての事項の決議が可能となります。

(区分所有法第36条)
集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の⼿続を経ないで開くことができる。

議決権(第38条)

区分所有法第38条では「各区分所有者の議決権は、規約に別段の定めがない限り、第⼗四条に定める割合による。」と定られています。

区分所有法第14条の定めの通りの議決権割合では、1住戸あたりの議決権割合が「何千分の何」など議決権割合が非常に細かくなることも多く、決議の際の計算も煩雑となり、計算ミスなどないようにしっかりと集計する必要があり大変です。

そのため、規約によって「1住戸1個の議決権とする」など定めることが可能で、それにより集会決議の集計も容易にすることができます。

(区分所有法第14条1項)
各共有者の持分は、その有する専有部分の床⾯積の割合による。

(区分所有法第14条2項)
前項の場合において、⼀部共⽤部分(附属の建物であるものを除く。)で床⾯積を有するものがあるときは、その⼀部共⽤部分の床⾯積は、これを共⽤すべき各区分所有者の専有部分の床⾯積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床⾯積に算⼊するものとする。

(区分所有法第14条3項)
前⼆項の床⾯積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の⽔平投影⾯積による。

(区分所有法第14条4項)
前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

議事(第39条)

議決権の決議要件(第39条1項)

区分所有法第39条1項では「集会の議事は、この法律⼜は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。」と定められています。

通常の集会での決議は普通決議(議決権の各過半数で決する)となりますが、区分所有法や規約で4/5以上、3/4以上など決議要件が特別に定められているものは特別決議となります。

議決権の行使(第39条2項)

区分所有法第39条2項では「議決権は、書⾯で、⼜は代理⼈によつて⾏使することができる。」と定められています。

区分所有法上は、代理人に資格制限はないため、誰でも代理人になることが可能です。
しかし、規約により代理人の資格制限を定めることが可能となります。

代理人によって議決権を行使する時の委任状や書面による議決権を行使する際の書面の様式に決まりはありません。
よって、管理組合が作成した様式と異なる様式の書面であったとしても区分所有者本人の署名があり、意思が伝わるものであれば有効となります。
また、区分所有者本人の押印がなくても有効となります。

電磁的方法による議決権の行使(第39条3項)

区分所有法第39条3項では「区分所有者は、規約⼜は集会の決議により、前項の規定による書⾯による議決権の⾏使に代えて、電磁的⽅法(電⼦情報処理組織を使⽤する⽅法その他の情報通信の技術を利⽤する⽅法であつて法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)によつて議決権を⾏使することができる。」と定められています。

書面だけでなく、FAXや電子メール、昨今のIT技術を活用したWEBでの議決権行使など電磁的方法による議決権行使を規約で定めることや集会で決議することによって可能となります。

議決権⾏使者の指定(第40条)

区分所有法第40条では「専有部分が数⼈の共有に属するときは、共有者は、議決権を⾏使すべき者⼀⼈を定めなければならない。」と定められています。

専有部分を複数人で共有していて、議決権を行使すべき者を定めずにそれぞれ議決権を行使した場合は、それら議決権は全て認められません。
しかし、集会への出席は全員出が認められています。

まとめ

本記事の「集会の決議と議決権」について理解頂けたでしょうか。

集会の決議は、管理組合にとって最も重要なことと言っても過言ではありません。

正しい決議方法による決議でなかった場合には、後日に無効とされることも大いに考えられることです。

管理組合から管理を委託する建物管理会社でさえ、理解不足によりご認識しているようなケースも見受けられます。

正しい知識で正しい決議ができるよう心掛けて下さい。

本記事も読んでいただきどうもありがとうございました。

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